日本人の2人に1人ががんに罹患すると言われる現在、誰ががん患者になっても不思議ではない。しかし、実際に罹患するとなると、肉体的にも精神的に大きなダメージを被ることも避けられない。
こうしたダメージを少しでも和らげるために、がんと診断された時から身体的・精神心理的・社会的苦痛に適切な治療やケアを利用できるよう、「早期からの緩和ケア」の取り組みが進みつつある。
ほとんどの人にとって「初めて」の緩和ケア
自分や家族など身近な人にとってがん治療はある日突然やってくる。だからほとんどの人にとって、緩和ケアに直面するのもそのときが“初めて”となることが多い。
「緩和ケア」という言葉を知っていても、実際に緩和ケアを受けられるのはどのような施設なのか、誰が関わるのかなど具体的にはわからない。そして、実際に緩和ケアを受け始めても、それがスタンダードなのか違和感を持つべきなのか、慌ただしく進む治療の中で不安になる方も多いというのが実情だろう。
筆者は以前、「がんの緩和ケア、『終末期になってから』より『早期から』が望ましい理由」の記事を寄稿したが*、その際に記事を読んだ人からこんな疑問が寄せられた。「緩和ケアを受けるには積極的な治療をあきらめなければいけないのか」「ホスピスはどう違うのか」「緩和ケア病棟に入院したら支払いが多いのではないか」……。
そこで、緩和ケアについて基本的な情報を、改めてお伝えしたいと思う。