長期金利は節目の10年移動平均を上回る

 長期金利の520週MAとは、債券をほぼ毎週購入する機関投資家の「平均取得利回り」を示します。長期金利が520週MAを「下回る」間は、債券の「含み益」があるので、投資家は株などリスク資産への投資を拡大できます。しかし、その反対に長期金利が520週MAを「上回る」と債券に「含み損」が発生します。リスクが取れなくなった機関投資家は株の売却に動くのです。

 その長期金利は、今年3月18日以降、520週MAを超えて推移しています。

 FRBのデータによると、大手米銀100行の債券含み損率はこれまで、自己資本の3%をラインで切り返し改善に向かうことがたびたびあったのですが、今回は3月18日時点で自己資本の4%に達しています(図2)。その時点で2.2%だった米10年債利回りは、今や3.4%まで上昇しています(利回り上昇で債券価格は下落)。


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 FRBは今年3月末で、この含み損データの公表を止めたので、大手米銀の現在の含み損率はわかりません。ただ、2008年金融危機前後の水準に近づいていることは確実でしょう。

 FRB自身が抱える含み損も相当なものです。FRBは新型コロナウイルス感染症が広がった2020年3月以降、2022年6月10日までに米国債を約3兆ドル(約400兆円)も買っています(図3)。一方、その過程で10年債の先物価格は17%も下落しているのです。


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