翻訳よりポスティングの方が稼げる
大手メーカーに30年以上勤めるJさんが副業に取り組むようになったのは、5年ほど前、お子さんが突然難病にかかったことがきっかけだ。その病気は保険適用外のため、月10万円ほどの医療費を自費で負担しなければならなくなったのだ。
「給料は20年くらい前から、ほとんど上がっていません。住宅ローンと教育費、さらに治療費が重なって、もう副業するしかない、と。まずは自宅のパソコンでできる仕事、例えば、ラーメン店の口コミを書く仕事や得意な英語の翻訳作業などをやってみましたが、仕事が不定期なうえに、月に数千円にしかならなくて……」
そんな時、たまたま自宅のポストに「ポスティングスタッフ募集中」というチラシが入っていた。時間が自由に選べて、近所でできる点に惹かれたという。
募集をしていたのは大手の不動産会社で、配布するのはマンション販売のチラシだった。指定された不動産会社のビルで一緒に面接を受けたのは、赤ちゃんを抱いた主婦や高齢男性が多かったという。
「担当者から、『100~1000戸分を割り当てるので、好きな時間に配ってください。多い人は月に数万円稼いでいます』と言われました。ただ、実際にやってみると、めちゃめちゃコスパの悪い仕事でした」
初めてのポスティングで、Jさんは1週間かけて1000部のチラシを配った。配布エリアは自宅の近所のマンションや団地などの集合住宅。1000部を配るのに、1日あたり2時間、合計4~5日かけたという。ところが報酬は1枚1円なので、10時間働いてもたった1000円しかもらえない。