選挙公報もポスティング業者が配布

 この日、筆者が担当したのは1枚あたり2円の葬儀屋のチラシ。エリアはそれほど広くないが、戸建て住宅を回ったので、300枚のチラシを配布するのに4時間ほどかかった。集合住宅なら、戸建ての半分以下の時間で終わるという。

 500枚をすべて配り終えないと、報酬の1000円はもらえない。歩くことには自信がある方だが、「帰ってすぐに寝たい」と思うほどの疲労を感じた。

「残りは時間がある時にやってくれればいいから」

 ポスティングを終えて戻ると、事務所にはTシャツ姿の社長がいて、ねぎらいの言葉をかけてくれた。仕事を続けてくれる人が少ないらしく、対応はとても丁寧だ。

 社長によれば、もうすぐ7月の参院選に向けた、選挙公報を配る仕事があるという。選挙公報とは、選挙に立候補した候補者をすべて掲載する、公費で刷られる白黒の文書だ。

 かつて選挙公報や自治体の広報誌は、新聞と一緒に届けられていた。新聞の購読者数の落ち込みで、こうした公的な配布物まで、ポスティング業者に頼っているのだ。

 ポスティング事業は、郵便局をはじめ大手の運送業者も参入しているが、実際は人手不足で、中小のポスティング会社に仕事が流れてくるらしい。

 この社長によれば、選挙公報は厚みがあるうえに、配布期限が短いため、単価は1部8円(東京都内の場合)と、ほかのチラシと比べて高い。Jさんが言うように、選挙前にはいろいろおいしい仕事があるようだ。

 もうすぐ参院選。選挙公報の配布は6月下旬から始まる。リモートワークで運動不足気味のおじさんは、近所のポスティング会社に問い合わせてみてはどうだろうか。