有事の際に動員する予備役の訓練を視察した台湾の蔡英文総統(2022年3月12日、写真:ロイター/アフロ)

(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)

 その瞬間、喝采が入り混じったどよめきが台湾から聞こえてきたかのようだった。

 アメリカのバイデン大統領が5月23日に開かれた日米首脳会談後の記者会見で、「台湾防衛のために軍事力を行使する意思があるか」との記者の質問に対して「イエス」と回答したのだ。しかも「それが私たちが果たしてきた約束だ」と付け加えた。

 台湾政府の高官は「驚いた。非常に心強い」とバイデン大統領の発言を高く評価した。一方で、中国外務省の汪文斌副報道局長は「台湾問題は中国の内政であり、いかなる外部勢力の干渉も許さない」と強く反発した。

 この台湾防衛発言を「失言」だと報じる内外のメディアもあり、世界に少なからぬ波紋を広げた。ただ、台湾への中国による脅威をめぐって、バイデン大統領は「これまでも台湾防衛を公約してきた」とたびたび口にしてきた。