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空気は自分で選ぶ時代へ──

JBpress autographは空気質にこだわり挑み続ける東京工業大学 鍵直樹教授とパナソニックを緊急取材。産学それぞれの立場から住環境における空気のリスクや快適な生活を送るためのヒントを語っていただき、その本質に迫っていく。鍵教授へのインタビュー動画とともに、上質な空気とはなにか?を全3回のシリーズで解き明かしていく。

目次
アカデミック編「住環境の研究者 鍵直樹教授が教える 住まいの空気のリスク」
Panasonic編「20年以上の空気研究が生んだナノイーX」

東京工業大学 環境・社会理工学院 建築学系 教授
鍵 直樹 氏
研究分野は建築環境工学、空気環境、室内空気質。室内における空気環境の基礎的な研究を行っており、空気中に浮遊している目に見えない汚染物質の検出・測定による“見える化”、汚染物質の発生源や空間中での特性などの把握と対策を研究テーマとしている。

アカデミック編「住環境の研究者 鍵直樹教授が教える 住まいの空気のリスク」

リスクを把握すれば、よい空気を手に入れられる

不快に感じるジメジメした季節は、室内の空気質が悪化しやすい時期でもある。生活の質を高めるためにも、事前にリスクを理解し、キレイな空気環境を整えておきたい。

建物の内装材や生活スタイルなど、室内の空気にはどんなリスク要因があるのか。日本の気候の特徴や地球温暖化にも触れながら、住まいに潜む「空気質のリスク」について、住環境の研究者、東京工業大学 鍵直樹教授に解説いただいた。

日本の住環境は過酷

──日本の気候は住環境にどのような影響を与えているのでしょうか。

日本は四季の変化に富んでいますが、建物や設備側から見ると過酷な条件がそろっている国だと思います。高温多湿な夏はエアコンの冷たい空気で除湿をしなければいけない。冬は寒くて乾燥するため、暖房と加湿が必要となります。一方、比較的過ごしやすい春と秋は花粉が多く、窓を開けて外気をあまり入れられません。地域差もありますが、空調・換気設備なくして快適な室内環境を整えることは非常に難しいと考えられます。

──室内において空気の汚染物質が発生しやすい条件を教えてください。

一般的に化学物質に関しては高温になるほど発生量が増えるといわれています。また、カビの発生要因となる湿気についても夏場が特に高くなりますが、冬でも断熱性が悪い場所や加湿している部屋では結露が起きる可能性が高いです。空気の汚染物質については、気候だけではなく、建物の性能や生活スタイルも含めて考える必要があります。

「室内空気汚染には間接的な要因もあります。例えば、湿度は直接的には関係ありませんが、結露や湿った場所にカビや微生物が生成することで、MVOC(微生物由来の揮発性有機化合物)が発生します。季節によってオゾン濃度や化学物質の発生濃度も変わるため、さまざまな条件をシミュレーションしながら、研究を行う必要があります」

異常気象がさらなる空気質の悪化を招く

──近年はゲリラ豪雨や長雨なども増えていると思いますが、住環境への影響もあるのでしょうか。

建築物衛生法で定められている湿度の基準は40~70%ですが、雨量が多くなると、建物が乾く間もなく高湿度の状態が続いてしまいます。これを「ダンプネス」と呼びますが、微生物やカビが生育しやすい環境になるだけでなく、ぬれた建材から化学物質が発生してしまう恐れもあります。当然、室内の空気環境は悪くなります。こうしたダンプネスに伴う空気汚染を調査することも、私の研究テーマの一つとなっています。

──ほかに、先生が注目している空気質のリスクはありますか。

大気汚染物質の一つであるPM2.5にも注目しています。PM2.5とは2.5マイクロメートル以下の浮遊粒子で、外気における環境基準も定められています。しかし、現時点においては室内の基準はありません。実態や発生源、対策法が明確になっていないことが理由として挙げられますが、実は燃焼器具をはじめ、室内においても多くの発生源があります。空気清浄機はPM2.5を除去するための有効な手段だと考えていますが、引き続き実態などを追求し、より多くの方に注目いただけるよう研究を進めていきます。

研究対象となる材料を養生するための恒温装置。「採取した素材をそのまま実験で使用すると、含水量や温度が変わってしまう恐れがありますので、実験前にこの中で数日間安置。すると温湿度が安定し、より精度の高い試験を行うことができるようになります」

空気はコントロールし、選ぶ時代へ

──室内の汚染物質の対処法を教えてください。

室内で発生した汚染物質は、ある程度は空気清浄機でろ過できると思いますが、やはり換気は必要です。一方、換気のし過ぎは室内の温湿度を適切に制御できず、不快を招くとともに、冷暖房のロスにもつながります。「寒いから換気扇を切ろう」「部屋が蒸し暑くならないように窓を閉めっきりに」という方も多く、空気質と温熱環境のバランスが難しいのが換気ですが、最近ではこのようなエネルギーロスの少ない換気設備や換気機能を備えたエアコンなども登場しています。キレイで快適な空気環境を手に入れるためにも、こうした家電もうまく活用しながら対処していきましょう。

建材に含まれている化学物質や空気中の汚染物質の濃度などを測るガスクロマトグラフィー。「空気中の汚染物質を数値化するとともに、その発生源を見極め、より快適な住環境づくりに貢献していきたいと思います」

──今後は空気のマネジメントも大切になるのですね。

私が携わっている環境工学の要素には、熱、光、音、水、そして空気があります。音や熱、水は感じることができますし、光も目で見ることができます。一方、空気は感じることができないため、なかなか意識が向きません。しかし、私たちには一生吸い続けなければならない空気を選ぶ権利があると思います。私は今後も空気中に含まれる汚染物質をはじめ、空気の見える化を進めていくことで、人々の空気への意識を高めていきたいと考えています。


 

 

Panasonic編「20年以上の空気研究が生んだナノイーX」

鍵教授が話す「空気質と温熱環境のバランスが難しい」という換気は、室内のCO2や有害物質を排出するために欠かせない。しかしその際、外気に含まれる花粉やPM2.5を室内に入れてしまうリスクもある。そこで考えたいのが空気中の有害物質の抑制だ。

空気中の有害物質を抑制する「ナノイーX」がさらに進化

1997年から住環境の「空気浄化」をテーマに研究をスタートしたパナソニックは、有害物質を抑制する清潔イオン「ナノイー」を開発。現在は「ナノイーX」へと進化し、活躍の場を広げている。

最大48兆個/秒のOHラジカルが部屋中に拡散

ナノイーは、結露させて集めた空気中の水分に高電圧を加えることで生成される、ナノメートルサイズの微細なイオンだ。さまざまな物質に作用しやすい「OHラジカル」(高反応成分)を水で包んだ構造になっており、このOHラジカルが空気中の菌やアレル物質などの有害物質に含まれる水素を抜き取り、有害物質を変性させることで作用を抑制する。

一般的な空気イオン(マイナスイオン)はナノイーと違い、イオンを包む水のバリアーが少ない構造になっている。そのため、菌やアレル物質などの有害物質にたどり着く前に空気中の窒素や酸素と結合してしまい、消滅しやすい性質がある。一方、ナノイーは水に包まれることで長寿命を実現。一般的な空気イオンの寿命は数十~100秒であるのに対し、ナノイーの寿命は約600秒あるので、部屋中に行き渡らせることができる。

空気イオンはイオンを包むバリアーが少ない構造になっているため、有害物質にたどり着く前に消滅しやすい性質がある。一方、水に包まれているナノイーは寿命が長く、広範囲に及ぶことが確認されている(パナソニック調べ)

2001年に技術開発がスタートしたナノイーは、2002年以降、搭載デバイスが続々登場。2008年にはナノイーX発生技術の開発がスタートし、現在も進化を続けている。OHラジカルの量が多いほど、より早く高い効果を期待できるが、最新のナノイーXに含まれるOHラジカル量は48兆個/秒。これはナノイーの約100倍に相当する量だ。

スチームより小さい「ナノサイズ」だから、繊維の奥まで入り込む

ナノイー・ナノイーXは、「スチーム(水蒸気)」よりもはるかに小さなナノメートルサイズの微細なイオン。繊維の奥まで入り込むことができるため、アレル物質をしっかり取り囲んで抑制*する。さらに脱臭にも高い効果を発揮。たばこ臭、生ごみ臭、ペット臭、枕の頭皮臭、加齢臭などの原因物質に働きかけ、抑えることが可能*だ。

また、ナノイー・ナノイーXの効果はこれにとどまらず、空気中に浮遊・付着する菌やウイルス、8種のカビ菌、スギやヒノキなど日本の主要な花粉13種、ダニやペットのフケなどのアレル物質などを抑制*。PM2.5に含まれるとされる有害物質も分解*する。
 

●数値は実際の使用空間での試験結果ではありません。
*約6畳試験空間における〈浮遊菌〉約4時間後〈付着菌〉約8時間後〈浮遊ウイルス〉約6時間後〈付着ウイルス〉約8時間後〈花粉〉約24時間後〈PM2.5〉約8時間後(芳香族カルボン酸)、約16時間後(アルカン)〈アレル物質〉約24時間後〈ニオイ〉約15分後の効果です。

約5~20nmのナノイー・ナノイーXは、スチームでは入り込めない繊維の奥まで浸透し、有害物質やニオイの原因物質にアプローチ

公共施設や移動空間の空気の質も向上

ナノイー・ナノイーXは、パナソニックのエアコンや空気清浄機をはじめとする住環境向けの家電だけでなく、多種多様な施設や公共空間にも展開。病院や学校・保育園、老人ホームなどの公共施設や、ホテルや飲食店、さらにはエレベーターにも活躍の場が広がっている。スーパーやコンビニでは清潔な状態をキープすべく、ナノイーX搭載のショーケースを設置している店舗も多い。

さらにナノイー・ナノイーXは、JR横須賀線・総武快速線や山手線、小田急電鉄をはじめ、首都圏や京阪神を走る鉄道車両にも続々と採用されている。自動車ではトヨタとレクサスで計約40車種に搭載。三菱自動車やスズキ、ジャガー・ランドローバーの車種にも多く搭載されている。

ナノイー・ナノイーXは、全国鉄道会社11社、自動車メーカー8社98車種に搭載されている。【2022年5月末時点。ナノイー・ナノイーXの総数(自動車メーカーは海外専売車含む)】

住まいや施設にとどまらず、移動空間における空気質の向上にも貢献するナノイー・ナノイーX。現代人の多くが1日のおよそ9割の時間を室内で過ごすといわれている中、空気と生活の質を高めるための有効なデバイスとして、今後も注目していきたい。


新「ナノイーX」搭載エアコン    
『エオリア LXシリーズ』 
    

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詳細は、https://panasonic.jp/aircon/eolia.html