PR:パナソニック株式会社

人々の空気環境に対する意識が高まり、生活空間に留まらず、移動空間においても空気の質の向上が図られるようになってきた。2015年、JR東日本の山手線は、車両に『「nanoe(ナノイー)」デバイス搭載空気清浄機』を実装。国内鉄道網の中でも先駆者的な開発の裏側や、公共交通機関における空気環境のあり方について、 “空気のクオリティ”という観点から快適な暮らしのあり方を考える特集サイト「空気ラボ」の編集部が取材した。

『「nanoe(ナノイー)」デバイス搭載空気清浄機』が実装されたJR山手線「E235系」。

 

10社に及ぶ空気清浄機の性能を比較

『山手線の新型車両の製造計画がスタートしたのは2010年頃ですが、当時のお客様からは、“暑い・寒い”という空調の悩みだけでなく、“ニオイ”に関するご意見も多数寄せられました。その頃もニオイ対策を講じてはいましたが、抜本的な解決手段はなく、“何か手はないか”と頭を悩ませていました』
そう語るのは、首都圏を走る通勤電車の設計・製造などを行っているJR東日本テクノロジーで車両事業本部 開発センターに所属する本杉勇人さんだ。まずは当時家電として販売されていた10社ほどの主だった空気清浄機を取り寄せ、さまざまなテストによって性能の比較を行った。
 

『空気清浄機には脱臭成分を放出するタイプと、空気を取り込んで内部でキレイにするタイプがありますが、後者は面積が広い車両には向かないことが判明。さらに製品を分解して構造をチェックしたり、社内アンケートを行ったりした結果、パナソニック製の空気清浄機が最有力候補となりました。デバイスから放出される「ナノイー」が長寿命であり広範囲をカバーできることも大きなメリットに感じました』

本杉勇人さん。鉄道用の『「nanoe(ナノイー)」デバイス搭載空気清浄機』をパナソニックと共同開発する中で、JR東日本テクノロジーは本杉さんを中心に、最適な実装法を考案した。

 

自動車搭載用デバイスを鉄道向けに最適化

 パナソニックは2009年に、自動車搭載用『「nanoe(ナノイー)」デバイス搭載空気清浄機』をリリース。このデバイスを鉄道車両向けに応用することで、純正の製品を一から作るよりも効率的な開発が可能になると、JR東日本テクノロジーに提案した。

『当初は家電に接続されている「ナノイー」発生器を活用する案もありましたが、ノイズや防塵性といった課題をクリアするための大掛かりな装置を新たに作らなくてはなりませんでした。一方、自動車搭載用『「nanoe(ナノイー)」デバイス搭載空気清浄機』はそれらの課題を既にクリア済み。サイズも鉄道車両内に適用できる大きさだったため、導入へのハードルをかなり下げることができました』(本杉さん)

 山手線「E235系」は、さまざまな新技術の積極採用を目指す車両。そこで、いかに『「nanoe(ナノイー)」デバイス搭載空気清浄機』を実装させるかが大きなミッションだったと、本杉さんは語る。

『開発の初期段階では空調装置の中に入れたり、空調の下にあるダクトの中に入れたりと、さまざまなパターンを検討。実際に車両へ取り付けたテストも経て、車両内へ送風しているファン付近に設置することがベスト、という結論に至りました』

デバイスから放出された「ナノイー」は、天井の送風ファンによって車内へ流れていく。

 

臭気判定士資格も取得し、ニオイを徹底検証

 ニオイに対する検証も徹底的に行った。本杉さんが国家資格である臭気判定士を取得したことで、車両内のニオイのテストを自社でも行えるようになった。本杉さんの上司である田中寛之さんは、『ニオイを評価するにあたって、イオンの測定やセンサーによる測定も試みましたが、人間の鼻の方が優秀で、実際にセンサーが反応していない時もニオイを感知するケースがしばしばありました。そこで、公的な方法によるニオイの測定を自社でできるようにするため、本杉君が奮起。臭気判定士の資格を取得したことで、検証効率が大幅にアップしました』と、当時について語る。

JR東日本テクノロジー 車両事業本部 開発センター 担当部長 田中寛之さん

 

パナソニックの気流シミュレーションで「ナノイー」を均一に

 車両は家のリビングなどとは異なり、細長く広い空間であるうえ、ドアの開閉や人の出入りも頻繁だ。そうした特異な環境においても均一な「ナノイー」効果の実現を目指し、本杉さんはパナソニックと共にテストを繰り返した。

『車両内のどこにいても不快なニオイを感じることのない空間を実現するために、試行錯誤を重ねました。車体の形状などのデータを元にシミュレーションモデルを作成し、「ナノイー」デバイスの設置場所や個数を変えながら、何パターンも「ナノイー」の拡散状況をシミュレーションしてもらい、配置を決定しました。

また、車両ドアの開閉による「ナノイー」濃度の変化も検証。その結果、足元付近の濃度は多少下がりましたが、ニオイを感じる範囲における濃度は保たれることが確認できました』

「ナノイー」デバイス(左)内から「ナノイー」を放出する。右は、鉄道車両向けの専用電源装置。1つにつき、4つの「ナノイー」デバイスを接続できる。

 

車両の「ナノイー」化は他の鉄道へも拡大

 鉄道車両への『「nanoe(ナノイー)」デバイス搭載空気清浄機』の設置は大きな話題となり、他の鉄道会社からの問い合わせも増えていると、本杉さんは話す。

『どの鉄道においても空調とニオイに関する課題があるため、『「nanoe(ナノイー)」デバイス搭載空気清浄機』への期待も大きいと思われます。さらに、気流のシミュレーションによって実証したことをお話しすると、“クリーンな空気環境に向けて、そこまで真剣に取り組んでいるのか”と驚かれる方も。これもパナソニックさんの技術力と柔軟な対応があってこそ実現できたのだと感謝しています』

 さらに最近はニオイの原因の一つであるカビ対策も。公的な検査はパナソニックが行う一方で、JR東日本テクノロジーも独自でカビの繁殖具合等をチェックしている。

『「ナノイー」がある空間とない空間を用意してカビの生え方を比較したところ、両者で明確な差が出て、「ナノイー」テクノロジーを目の当たりにした結果となりました』(本杉さん)

 鉄道車両への『「nanoe(ナノイー)」デバイス搭載空気清浄機』の導入は、山手線を皮切りに、京王電鉄、東急電鉄、都営地下鉄、小田急電鉄など、多くの通勤電車に広がっており、直近では横須賀線の新型車両にも搭載された。さらに、西武鉄道 特急ラビューなど、特急車両への導入も開始。窓の開閉ができず、換気の頻度が少ない列車への普及も進めば、出張時もより快適な空気環境で過ごせるようになるだろう。

山手線を臨むJR東日本テクノロジー本社ビル。『「nanoe(ナノイー)」デバイス搭載空気清浄機』は、さまざまな鉄道の空気の快適化に貢献している。

 

2020年12月より運転開始されたJR横須賀・総武快速線「E235系」には、「ナノイー X」を放出する『「nanoe X(ナノイー X)」デバイス搭載空気清浄機』を搭載。

 

キレイで快適な移動空間の実現に向けて

『鉄道の空調装置は、導入当初は一部の車両のみに搭載されているものでしたが、現在では“当たり前”の装置となりました。時代の流れと共にお客様に快適な環境を提供する空調装置の重要性が増していった結果だと考えています。同様に、いずれ空気清浄機能も“当たり前”の存在になっていくことでしょう』
と話す本杉さんは、移動手段が多様化する中でも電車を選んでいただけるような環境づくりを推進していきたいと考えている。
『鉄道の特長は、乗っているだけで目的地に到着すること。安全・安定した輸送をお届けすることはもちろんですが、安心して車内でくつろいでいただける快適な環境をご提案し続けることも我々の使命だと考えています。この『「nanoe(ナノイー)」デバイス搭載空気清浄機』の実装はそれを実現するための一手。今後もより多くのお客様に鉄道を安心してご利用いただけるよう、キレイな移動空間をご提供してまいります』
 

『「nanoe(ナノイー)」デバイス搭載空気清浄機』の企画開発を行ったパナソニック アプライアンス社 ビューティ・パーソナルケア事業部 デバイス商品部 デバイス・アクアマーケティング企画課の仁田直宏さん(左)と、田中さん、本杉さん。


 

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