supported by Panasonic

空気は自分で選ぶ時代へ──

JBpress autographは空気質にこだわり挑み続ける東京工業大学 鍵直樹教授とパナソニックを緊急取材。産学それぞれの立場から住環境における空気のリスクや快適な生活を送るためのヒントを語っていただき、その本質に迫っていく。鍵教授へのインタビュー動画とともに、上質な空気とはなにか?を全3回のシリーズで解き明かしていく。

目次
アカデミック編「住環境の研究者 鍵直樹教授が教える 良い空気の基本」
Panasonic編「空気質にこだわった快適な暮らしを支えるエアコンヒストリー」

東京工業大学 環境・社会理工学院 建築学系 教授
鍵 直樹 氏

研究分野は建築環境工学、空気環境、室内空気質。室内における空気環境の基礎的な研究を行っており、空気中に浮遊している目に見えない汚染物質の検出・測定による“見える化”、汚染物質の発生源や空間中での特性などの把握と対策を研究テーマとしている。

アカデミック編「住環境の研究者 鍵直樹教授が教える 良い空気の基本」

高機能な住居ほど、空気汚染の可能性が高まる!?

人は1分間に12~20回呼吸しており、1日分に換算すると最大約2万9000回といわれている(※)。生きるうえで欠かせない空気だが、食べ物や水のように、体の調子を整えるために空気を選んでいる人は少ないのではなかろうか?

※平成24年度 喀痰吸引等指導者講習事業 「喀痰吸引等指導者マニュアル」より算出(成人の場合)

空気の質は住環境によって変わるといわれている。そこで、昔と現在の建物の特徴を比較しながら、住環境の変化と空気質との関係性について、住環境の研究者、東京工業大学 鍵直樹教授に聞いた。

高気密ゆえに滞留する汚染物質

──時代とともに住居の形は変化してきましたが、室内の空気環境も変わっているのでしょうか。

かやぶき屋根と漆喰(しっくい)の壁、畳などで作られていた頃の建物は気密性が悪く、外気が屋内に多く入り込んでいましたが、煮炊きによって屋内で発生した煙も自然と外に排出されていました。その後、住宅は高機能化し、現在では省エネを目的とした高気密・高断熱の設計が主流に。外気を遮断し、室内は暖房・冷房などによって過ごしやすい環境を作り出しています。その一方で、室内で発生した汚染物質は排出されずにそのまま中にとどまっている状況になっています。

天然木材や漆喰などの天然素材を使っていた頃は断熱性と気密性は悪かったが、自然に換気がされていた(写真左)。現在は、合成樹脂などの人工材料へと素材が変化し、断熱性と気密性が向上。しかし建物の換気機能が低下し、汚染物質が滞留するため,計画的な換気設備の搭載が必要となった(写真右)。

──どんな汚染物質が発生する可能性があるのでしょうか。

合板や壁紙をはじめ、現在の住宅には接着剤が多用されています。接着剤には室内空気汚染物質の一つと考えられているホルムアルデヒドなどの化学成分が含まれており、換気せずにいるとその濃度が上昇。空気の質はますます悪化してしまいます。外のホコリや花粉などが室内に入ってこないように窓を閉め切っている方もいると思いますが、気づかぬうちに室内で発生した汚染物質を吸い続けている可能性もあるため、注意が必要です。

──気密性が高いことによるデメリットもあるのですね。

汚染物質の原因は建材だけではありません。例えば、湿気が多く結露が起こりやすい場所ではカビも生えやすい。放っておくと、空気中にカビの胞子が飛散してしまうことも。空気は目に見えないため、強いニオイがなければ異変に気づきにくく、いつの間にか汚染空気のリスクにさらされていることも考えられます。

物質によってはプラスに作用することも

──室内の空気質は建物の特性に左右されるということでしょうか。

室内環境を快適に保つためには、建物の維持管理はもちろん重要ですが、建物を計画・設計段階から見直す必要もあります。私は内装材料や換気、温度・湿度などさまざまな条件下の室内の空気を対象にしながら、建物によって室内の空気汚染を引き起こす物質やその発生源を特定し、対策方法を考えています。

2004年から2012年にかけて、厚生労働省の施設等機関である国立保健医療科学院にて、建築物の立ち入り検査を行う保健所の職員の研修を担った鍵教授は、建築物衛生法にも精通。「建物の中にいる方が快適に過ごすことができる環境を整えていくことが、建築環境工学を専門とする私に課せられた使命だと思います」

──近年は古民家や木質住宅の人気も高まっています。

近代的で無臭な住宅よりも天然の木材のぬくもりや香りがある住まいを求める人が増えているのかもしれません。木材からは汚染物質の一つである揮発性有機化合物が発生すると考えられていますが、人によってはその空間が心地よいと感じるということが研究結果としても発表されています。私は空気中に浮遊する汚染物質を研究対象としていますが、今後は発生物質のマイナス面だけでなく、ぬくもりや香りといったプラス面も研究していきたいと思っています。

温度や湿度、空気の清浄度など、さまざまな条件の空間を作り出すことができる実験装置。「研究の一つで室内における化学反応を再現し、空気の汚染状況を検証します。気密性の高い現在の住宅は空気が滞りがちなため、空気の状態を把握しておくことが重要です」

“空気の見える化”を目指す

──新しい生活スタイルが定着し、家で過ごす時間が長くなっている人が増えていると思います。

現在ではオフィスや住宅など、建物で過ごす時間が1日の8~9割を占めているといわれています。住環境を考えるうえで、室内の空気の質は重要な要素の一つといえるでしょう。

──見えない空気に対して、私たちはどう向き合えばいいのでしょうか。

部屋が暑ければエアコンをつける、薄暗ければ照明のスイッチを入れる、という行動はできますが、目に見えない空気は感じることが難しい。そのため、自分がいる空間の空気質が悪い状況になっても、なかなかそれを退避する行動に移せません。そこで、私は“空気の見える化”を目指し、日々の研究に取り組んでいます。空気中の物質を解析・数値化し、汚染物質の濃度が高くなった場合には、換気や空気清浄機をつけるといった行動を喚起させるような仕組みを作りたいですね。

→『空気質を良くする住まい方』に続く


 

 

Panasonic編「空気質にこだわった快適な暮らしを支えるエアコンヒストリー」

 

「住環境を考えるうえで、空気の質は重要な要素」と語った鍵教授。住まいの空気は、住環境やライフスタイルによって変化する。最近では「おうち時間」が増えている人も多く、住まいの空気質の重要性はより高まっている。

一方、「空気から未来を変える」というスローガンで空気と向き合っている家電メーカーがパナソニックだ。同社の住まいの空気へのこだわりとは?

長年にわたる研究成果が結集!

大気汚染、たばこの煙、ハウスダスト、ペット臭…。これら空気質の問題は、住環境の歴史と大きな関係がある。パナソニックの空調家電には意外にも古い歴史がある。扇風機第1号を誕生させた1936年から始まっており、その長きにわたるものづくりの知恵と技術によって、室内の空気質に対する一つの答えを導き出した。

変化し続ける住環境と空気に寄り添う

むき出しの柱や畳、土壁など、風通しを良くするための工夫が施されていた日本家屋の時代から、パナソニックは生活空間における風や空気に関わってきた。1936(昭和11)年に発売した『MURZ』を皮切りに、数多くの扇風機を製造販売。より爽やかで心地よい風の流れを作り出した。気密性が高い鉄筋コンクリート構造の集合住宅が普及した高度成長期には、業界に先駆けてクーラーを発売。一方で煙やニオイを排出させる換気設備や空気清浄機の開発も行った。

(左)1936(昭和11)年、パナソニック製の扇風機第1号『MURZ』が誕生。(右)1958(昭和33)年にはホームクーラー事業を開始。1号機『ナショナル・ホームクーラー』が登場した。

近年は高気密・高断熱住宅が主流になり、建材から発生する化学物質や結露によって生じるカビなど、室内の空気汚染が社会問題に。エアコンは部屋を快適な温湿度にするだけでなく、空気の質を高める機能も求められるようになった。壁掛けエアコンをはじめ、業界初の製品を次々と世に送り出したパナソニックは、空気の質にもこだわってエアコンを開発。健やかで、心地よく、豊かな時間を過ごすための「いい空気」を提案している。

空気質の4要素を網羅したエアコンが新登場

空気の質を決めるのは温度だけではない。夏場のジメジメや冬場の肌の乾燥は湿度が原因であり、花粉やホコリ、カビ菌などの有害物質、たばこやペットのニオイも不快に感じるだろう。また、夏の木陰を通り抜ける風が心地いいと感じるように、空気の流れ(気流)も快適さを左右する。パナソニックは、「温度」「湿度」「清浄度」「気流」を空気質4要素と捉え、商品を開発。そしてついに、この4要素をトータルで整えられるようになったエアコンが登場した。

パナソニックのエアコン『エオリア』LXシリーズは、冷暖房の基本性能へのこだわりに加え、換気機能が搭載されていることが大きな特徴だ。冷暖房しながらでも、換気運転単独でも、屋外の新鮮な外気をしっかり取り込むことができる。

また、室外機に搭載された「高分子収着材」によって、エアコンによる加湿を実現した。吸湿・放湿力に優れた素材で、外気に含まれる水分をため込んで活用するため、給水の手間なく加湿運転をすることが可能。暖房時の室内乾燥を防ぐことができるうれしい機能だ。

除湿機能も進化した。「夏の冷え過ぎ」問題へのアプローチとして、先述の「高分子吸着材」に湿気を集め、空気を乾いた状態にしてから室内へ取り込むことで、温度を下げ過ぎずに湿度を下げることができる仕組みになっている。

室外機に「換気・除加湿」ユニットを搭載。吸湿・放湿力に優れた「高分子収着材」が、素早い加湿や、寒くなりにくい除湿を実現。

清潔性や省エネ性も追求

『エオリア』には同社独自の清潔イオン、ナノイーXが搭載されている。「ナノイー」とは、空気中の水に高電圧を加えることで生成されるナノサイズの微粒子イオン。「ナノイー」に含まれるOHラジカルによってカビや花粉、ニオイなどを抑制する。『エオリア』2022年モデルからはナノイーの最上グレードである「ナノイーX(48兆)」を搭載し、その働きによってエアコン室内機内部のカビ菌を除菌(★)できるようになった。

(★)生えてしまったカビを除去する機能ではありません。
冷房・暖房・除湿を30分以上運転した後の停止時。約6畳密閉試験空間で1 日3 時間の冷房運転後に「内部クリーン」を運転、4 日後の効果。数値は実使用空間での試験結果ではありません。

新「ナノイーX」がエアコン内部のすみずみまで充満。カビ菌を抑制し、清潔をキープする

また、排熱エネルギーを有効活用する同社の独自技術「新・エネチャージシステム」も搭載。省エネでサラッとした快適な冷房と、霜取り運転中でも暖房が止まらないノンストップ暖房によって、住まいをより快適な空間へ。

空気は目に見えないが、生活の質を大きく左右する存在だ。いい空気の中に住むためにも、人と空気に寄り添うエアコンの導入を検討してみてはいかがだろうか。

除湿、加湿、換気、有害物質抑制(※)
住まう空気を整えるエアコン
『エオリア』LXシリーズ

空気の4要素である「温度」「湿度」「清浄度」「気流」を整え、清潔で快適な極上冷暖房を実現するプレミアムモデル。オープン価格。
詳細は、https://panasonic.jp/aircon/eolia.html

(※)約6畳試験空間での抑制効果です。
〈カビ菌〉約2時間後〈花粉〉約3時間後〈ニオイ〉約15分後〈アレル物質〉約6時間後〈浮遊菌〉約4時間後〈付着菌〉約8時間後〈浮遊ウイルス〉約6時間後〈付着ウイルス〉約2時間後〈PM2.5〉約12時間後
数値は実際の使用空間での試験結果ではありません。