ボスポラス海峡を通航して黒海に向かうトルコ海軍の機雷掃海艇(資料写真、2022年3月26日、写真:ロイター/アフロ)

(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)

 ウクライナへのロシアの侵攻は、停戦の可能性も見えてきました。しかし、たとえ停戦に実現したとしても、尾を引きそうな問題がいくつかあります。その1つが、黒海の機雷問題です。湾岸戦争が集結した後に自衛隊の掃海部隊が派遣されたように、機雷は戦闘が終結した以後も海運に脅威を与え続けます。

 しかも、黒海の機雷問題は、漂流しているとみられる機雷が多数あるという厄介な状況です。「ここは安全」と言える場所がない状態になっているのです。

 3月26日、黒海の南西部、ボスポラス海峡に近い場所で機雷が発見され、トルコが処分を行っています。その2日後、28日にも、今度はルーマニアと再びトルコにおいて漂流する機雷が発見され、処分されています(下のツイートの写真)。

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 これらの漂流する機雷に関しては、発見の1週間ほど前の3月19日、ロシア側が「ウクライナが420個の機雷を敷設し、その機雷の一部が、係留していた係維索(ワイヤー)が切れたことから流出した」と発表していました。このため、日本でもSNS上で、この機雷がウクライナのものだという声が聞かれます。

 確かに、ウクライナは、ロシア軍によるオデーサ周辺への着上陸作戦を警戒しているため、機雷を敷設し、着上陸作戦を阻止しようとしていた可能性があります。