(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)
ウクライナへのロシアの侵攻は、停戦の可能性も見えてきました。しかし、たとえ停戦に実現したとしても、尾を引きそうな問題がいくつかあります。その1つが、黒海の機雷問題です。湾岸戦争が集結した後に自衛隊の掃海部隊が派遣されたように、機雷は戦闘が終結した以後も海運に脅威を与え続けます。
しかも、黒海の機雷問題は、漂流しているとみられる機雷が多数あるという厄介な状況です。「ここは安全」と言える場所がない状態になっているのです。
3月26日、黒海の南西部、ボスポラス海峡に近い場所で機雷が発見され、トルコが処分を行っています。その2日後、28日にも、今度はルーマニアと再びトルコにおいて漂流する機雷が発見され、処分されています(下のツイートの写真)。
IMAGES of the Romanian Navy neutralising a (Russian) mine that was floating off its coast in the Black Sea. There were reports that Russia had mined the entire area from the Bosphorus to Odesa, Ukraine. #Putin #Russia #Ukraine #UkraineUnderAttaсk #PutinsWar pic.twitter.com/ooQSaxSdix
— raging545 (@raging545) March 28, 2022
(*)配信先で本記事の図版が表示されていない場合はJBpressのサイトでご覧ください。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69550)
これらの漂流する機雷に関しては、発見の1週間ほど前の3月19日、ロシア側が「ウクライナが420個の機雷を敷設し、その機雷の一部が、係留していた係維索(ワイヤー)が切れたことから流出した」と発表していました。このため、日本でもSNS上で、この機雷がウクライナのものだという声が聞かれます。
確かに、ウクライナは、ロシア軍によるオデーサ周辺への着上陸作戦を警戒しているため、機雷を敷設し、着上陸作戦を阻止しようとしていた可能性があります。