ところが今回、ニュージーランドはロシアに対する経済制裁を決定した。ロシアは、中国ほどニュージーランド経済に大きな影響力を持たないという判断もあるだろうが、さすがに隣国に軍事侵攻していくロシア軍の姿を目の当たりにして、対ロシア制裁に加わらないという判断はできなかったのだろう。

 それだけにファイブアイズは今回のウクライナ侵攻に関しては極めて積極的に動いている。彼らが現在、力を注いでいるのは、ロシアをさまざまな国際的な枠組みから排除する作業だ。SWIFTからのロシア排除をはじめ、プーチン個人が務めていた国際柔道連盟名誉会長からの解任まで、さまざま「ロシア排除」が報じられている。

 インターポール(ICPO=国際刑事警察機構)にも「ロシア排除」を要請した。

 この要求には、インターポール側が、組織の中立性などを理由に拒否したが、ファイブアイズの国々からインターポールに対するプレッシャーが強まることは間違いない。ファイブアイズ側は今後もあらゆる国際機関・組織から「ロシア排除」を試みるだろう。

ロシア軍、ツイッターでも動向をさらされる

 さて、今回のウクライナ侵攻に際して、肝心の諜報活動において、ファイブアイズの中で中心的役割を果たしているはアメリカとイギリスだ。もともとイギリスはファイブアイズでも欧州・ロシア方面を中心的に担当していたので、イギリスが重要な役割を担うのは当然だと言える。そもそも、イギリスはロシアと古くからスパイ合戦を繰り広げてきており、長い歴史に基づく蓄積がある。加えて今回は、ロシアから亡命した元情報関係者などを多数確保していることから、そうしたところからの情報網も今回、かなり対ロシア戦で有効に働いていると言われている。

 そして実はCIAには、2008年のジョージア侵攻や2014年のクリミア侵攻の際、十分なスパイ能力を現場に持っていなかった苦い思い出がある。そんな反省からも、今回のウクライナでは、イギリスなどとも密に協力し、これまで以上に準備を怠らなかった。