李明博元大統領もその一人だ。李明博氏の赦免を文在寅大統領が決断するということは、「積弊清算」の矛を収めてほしいという意思表示なのかもしれない。ただ尹氏は、大統領として捜査に関与することは否定しながら、「(過去の保守政権に対する)現政権初期の捜査は憲法、原則にのっとったもので、次の政権が自分たち(文政権)の不正と違法を捜査すれば『報復』になるのか」と強調、「捜査は適正に実施される」と説明している。

 法に照らして追及すべき不正は厳粛に追及するという考えだ。

 国民の力には現検事総長の辞任を求める声が上がっている。尹錫悦新政権において、議会で過半数を占める共に民主党と全面対決状態になることは、望ましくない。したがって、前政権への不正追及は、時間をかけ慎重に進める必要はあるだろう。しかし、民主党議員の中には不正にかかわる人もいるだろうし、議員側でも安泰とは考えていないだろう。新旧両政権の葛藤は当分続くことになりそうである。

大統領府を大胆に改革

 尹錫悦氏は、大統領選に勝利した直後から、自身の政権構想について少しずつメディアを通して伝えている。

 それによれば、従来の大統領の在り方を大きく変えるつもりのようだ。

 尹錫悦氏は、青瓦台を出て、執務室を市内に移す考えのようだ。それは帝王的大統領の終焉を象徴するだろう。

 また尹錫悦氏は、青瓦台の民情首席室を廃止する意向を表明している。尹錫悦氏は大統領選で協力関係にあった安哲秀(アン・チョルス)氏ら大統領職引き継ぎ委員会の幹部とティータイムを持ち「今後、大統領質の業務から監査機能を徹底的に排除し、民情首席室を廃止する」と表明したのだ。