欧州諸国もロシアの軍事侵攻は首都キエフが標的であるとの見方を強めている。市長が「防空壕を整備しろ」「警報サイレンの点検をしろ」と号令をかける、そのキエフの住人が追い込まれている状況については、一昨日に報告したとおりだ。

(参考)「家族はすでに避難」旧知のキエフ市民が語った危機への覚悟
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68931

「隣国の領土」を侵攻しようかという国が、実効支配中の「隣国の領土」を返還するか

「いま、妻と4人の子どもは西部のポーランドの近くに避難しているよ」

 いまもキエフに留まる私の知人は、電話でそう話していた。侵攻に抗戦する覚悟はできている。だが、米情報機関の分析では、首都キエフは2日以内に陥落、最大で5万人の市民が死傷するとされる。

「また、日本の『ライス・クラッカー(煎餅)』と『ふりかけ』を持ってウクライナにきてくれ。妻と、それに子どもたちが大好きなんだ」

 彼が日本人である私を意識して、最後に投げかけた言葉が、耳から離れないでいる。

2月19日、ウクライナの首都キエフでは予備役たちが領土防衛軍の指揮のもと、訓練に励んでいた(写真:ロイター/アフロ)

 しかし、ウクライナが置かれた状況は、日本人にとっても他人事とは言い切れない。日本もまた、ウクライナと同じくロシアと国境を接する国だ。そして、日本はロシアに北方四島を奪われたままになっている。