無惨が最初に得た異能
無惨はこの時すでに複数の異能を手に入れていた。最初期に持っていた異能の1つで確実なのは日光で焼死することへの本能的察知である。無惨および無惨が作った鬼たちは「血の種類や病気 遺伝子など 人間に判らないこと」が判断できるという(第74話)。無惨は細胞単位の生物情報を判別する知覚能力があるのだ。自身が太陽の光を浴びると死ぬと察したのは、この異能を得ていたからだろう。
それともう1つは、不死身の肉体である。無惨は日光を浴びない限り死なない身体を得ていた(当時は日輪刀もないので、ほかに恐れるものは何もなかった)。
加えて重要なのが、鬼を増やす細胞能力である。
その異能に無惨自身がいつ気づいたかわからないが、自分の血を人間に混ぜてやれば鬼になるなどという能力が、偶然見つかるものだろうか。確証はないものの、初期能力として初期から本能的に察知していたであろう。
作中の無惨は「増やしたくもない同類を増やし続けた」と述べており、鬼の増産を好んではいなかった(第127話)。すると無惨は、この異能を積極活用しなかったのではと思うかもしれないが、初期の頃はむしろ逆に鬼を大量に増やしていたかもしれない。なぜなら初期の無惨には、鬼は作ってみなければ、自分の思い通りに動くかどうかわからない。わからないなら、やってみるしかないからだ。
無惨には鬼がどこにいてもわかり、テレパシーができる。近くにいれば思考も読める。自分の名前を発すれば、自爆的に落命する仕掛けも加えられる。ここまで自分に都合のいい家来を作れるのだ。鬼を数千人ほど作れば、日本全土を統治することも夢ではない。新王朝の建国ができるのである。
その上で人間たちを無惨ヒエラルキーの最下層に置くぐらいの構想は抱いただろう。そうすれば、行方知らずの「青い彼岸花」の探索も、より広範囲に実行可能となるはずだからだ。