1985年の東京慈恵医大のスポーツ医学専門の教授との対談で澤木氏は「(血液性状検査は)ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球数、白血球数を調べます」「ヘモグロビン濃度が12g/dlぐらいになると競技スポーツのトレーニングは遂行できない。13あるいは14g/dlになると可能」「長距離を走る前に大量の水分を採るとよいという外国の新理論を確かめるため、600mlの水分をトレッドミル測定の前に3種類の飲ませ方をして直腸温を測定した。体温の上昇が一番少なかったのは、最初に多量の水を飲ませたグループだった」「白血球数が8000/mm³以上になっている選手に痛いところがあるかと訊くと、だいたい炎症が起きている」といった発言をしている。
前回経験者8名、戦力充実の順大
風貌も物腰も一見クールだが、大阪出身らしくかなりの早口である。そして必ず話にオチがある。たとえば「(箱根駅伝では)1区にエースを置いてスタートから飛ばしてくる学校がある。そうなると後続もそれにつられたりして、大混乱をきたすことがあるんです。たとえそんな状況になったとしても、冷静に、落ち着いて走れる信頼できるランナーを置く。でも以前に、中距離の選手を配置したので、『ビリにならなきゃいいから』と言って気楽に走らせようとしたら、20人中19番だった(笑)」といった具合だ(生島淳著『監督と大学駅伝』より)。
なお澤木氏は、現在は陸上部名誉総監督・顧問として主に中距離の指導をしており、駅伝監督は長門俊介氏である。同氏は順天堂大学OBで、箱根駅伝では4年連続9区を走り、4年生だった2007年の大会で区間賞を獲得している。
昨年の大会で順天堂大学は7位。今年は前回の経験者が8人、1万m28分台が13人おり、戦力は充実している。注目はもちろん東京五輪の3000m障害で7位に入賞した三浦龍司選手だ。1年生だった昨年の大会では1区で10位に終わったが、今年はどの区間でどうリベンジするのか楽しみだ。