文=酒井政人
上位校と予選会校の格差
近年は上位校と予選会校で明確な〝格差〟があると感じている。強い大学はさらに強くなり、予選会校は同じグループのなかで僅差の戦いを繰り返しているイメージだ。前回大会、予選会を突破した10校のなかでシード権を手にしたのは、予選会を過去最高水準記録でダントツのトップ通過を果たした順大だけだった。
上のステージを目指す予選会校はどんな戦いを繰り広げるのか。今回、シード権獲得に近い位置にいるのが、予選会をトップ通過した明大と2位通過の中大だ。両校は全日本大学駅伝でも7位と8位に食い込んでおり、本戦では上位争いも十分に期待できる。
「強さ」を追い求めてきた明大
明大は前回、1区児玉真輝(2年)が16位と出遅れて、その後も大苦戦。一度もシード圏内に入ることができず11位に終わった。しかし、今回は登録選手上位10人の10000m平均タイムが駒大、青学大に次ぐ3位(28分31秒18)という戦力を誇るだけでなく、チームは「強さ」を追い求めてきた。
予選会は後続に4分以上の大差をつけて堂々のトップ通過。2週間後の全日本大学駅伝は10000mで28分10秒前後のタイムを持つ鈴木聖人と手嶋杏丞(ともに4年)、予選会で大活躍した加藤大誠(3年)が精彩を欠くも、総合力でカバーした。児玉が2区で区間2位、小澤大輝(3年)が4区で区間3位、橋本大輝(4年)が7区で区間4位と奮起している。
加藤は前回2区で区間17位に沈んだが、1年時は10位でタスキを受け取ると、2区を区間12位でまとめている。予選会で日本人2位に入るなど走力はアップしており、1区が上位でスタートを切ることができれば好走できるはずだ。エース鈴木は3年連続となる5区が有力。前々回は区間5位、故障上がりだった前回も区間9位で走っており、万全の状態なら区間賞争いに加わってもおかしくない。選手層が厚いチームだけに復路も強力だ。
中大は10年ぶりのシード権獲得なるか
中大は前回2年連続の総合12位も、復路は3位と〝強さ〟を見せつけた。今季は9年ぶりに全日本大学駅伝に参戦して、10年ぶりのシード権を獲得している。箱根駅伝は2年連続して1区(16位、17位)で出遅れているが、今回は12月4日の日体大長距離競技会10000mでU20日本歴代2位の28分03秒90をマークした吉居大和(2年)の起用が濃厚だ。吉居は2月から約3カ月間、米国で世界トップクラスの選手が所属するクラブチームでトレーニングをするなど「世界」を目指している逸材。そのスピードを爆発させてくれるだろう。