往路候補の三浦拓朗(4年)、森凪也(4年)、阿部陽樹(1年)は10000m28分20~30秒台のタイムを持ち、登録選手上位10人の10000m平均タイムは6位(28分37秒35)。2区は厳しい戦いが予想されるが、3区、4区でリカバリーできる。藤原正和駅伝監督は山に自信を持っており、5区でドラマを作るかもしれない。

 復路には前回6区区間5位の若林陽大(3年)、7区区間5位の中澤雄大(3年)、9区区間7位の手島駿(4年)という経験者が残っており、さらに順位を上げることができるだろう。シード権を獲得すると10年ぶりになるが、チームの目標は「5位以内」。最多14度の総合Vを誇る名門は第100回大会(2024年)での「優勝争い」を目指しており、今大会を〝急上昇〟へのターニングポイントにするつもりだ。 

 

シード権争いの注目校

 他に日体大、神奈川大、法大、中央学大もシード権争いに加わろうと戦略を練っている。日体大は予選会3位。42年ぶりに5000mの日体大記録を塗り替えたエース藤本珠輝(3年)が2区でどんな走りを見せるのか。5区候補には「激坂最速王決定戦」登りの部で学生2位に入った吉冨純也(2年)がいる。1区で好スタートを切ることができれば面白い。

 神奈川大は前回1区を区間4位と好走した呑村大樹(4年)と同3区10位の川口慧(4年)を欠きながらも予選会を5位で通過。10000m28分台の川口は登録に間に合った。予選会チームトップの巻田理空、前回10区で区間2位と快走した佐々木亮輔ら2年生が7人もエントリー。5年ぶりのシード権獲得と次世代の躍進に2年生の活躍がポイントになる。

 法大は全日本大学駅伝で9位に入った。1区内田隼太(3年)が5位で発進すると、2区鎌田航生(4年)で2位に浮上。3区小泉樹(1年)も区間6位と好走している。箱根でも1~3区は全日本と同じオーダーが有力。前回は2区で16位まで転落して17位に終わったが、今回は前回1区で区間賞を奪ったエース鎌田で好位置を狙うことができる。山対策にも自信を持っており、往路を10位以内で折り返すことができれば、シード権が見えてくるだろう。

 2年ぶりの出場となる中央学大は花の2区に吉田礼志(1年)を抜擢して、1区もしくは3区に予選会で日本人トップに輝いたエース栗原啓吾(4年)を配置予定。堀田晟礼(1年)も往路の候補に挙がる。川崎勇二監督は5区と8~10区には自信を持っており、故障で予選会と全日本を欠場した主将・小島慎也(3年)もエントリーには間に合った。3年ぶりのシード権にチャレンジする。

 山梨学大、駿河台大、専大、国士大の4校は強力なケニア人留学生を擁しており、往路では上位を走ることが可能だ。山梨学大は前回4区で区間賞を獲得したポール・オニエゴ(4年)の2区が有力。前回7年ぶりの出場を果たした専大は今季チーム初となるケニア人留学生のダンカン・キサイサ(1年)が入学した。国士大はハーフマラソンで学生歴代2位の59分51秒を持つライモイ・ヴィンセント(4年)が4年連続の2区に登場予定。いずれも1区で好位置につけることができれば、ケニア人パワーで上位に浮上することができる。

 ケニア人留学生の起用は2区が基本路線だが、初出場となる駿河台大は〝奇策〟を仕掛けてくるかもしれない。法大時代に箱根路を盛り上げた徳本一善監督は「面白いことをやりたい」と話しており、日本インカレ10000mを連覇しているジェームズ・ブヌカ(4年)を1区に起用することも考えているようだ。また埼玉県の中学校体育教師を2年間限定で休職し、箱根に挑んだ31歳の今井隆生(4年)と元教え子である永井竜二(3年)のタスキリレーも見られるかもしれない。箱根駅伝の戦いは新参者には甘くないが、44校目の初出場校がどんな爪痕を残すのか。

 他にも予選会で落選した大学の選手たちで形成された関東学生連合がオープン参加で出場する。学生ランナーの夢舞台には様々な思いが詰まっている。その熱い気持ちは、テレビ画面からしっかりと伝わってくるだろう。