文=酒井政人

2021年11月7日、全日本大学駅伝8区を走る駒大の花尾恭輔(左)と青学大の飯田貴之 写真=SportsPressJP/アフロ

ハマったときの爆発力は駒大

 2022年の箱根駅伝が近づいてきた。11月の全日本大学駅伝は首位が6回も入れ替わるエキサイティングな戦い。最後は駒大と青学大のアンカー勝負になり、史上最少タイム差となる8秒差で駒大が連覇を果たした。

 正月決戦も駒大と青学大の〝2強対決〟が有力だ。今大会の登録選手上位10人の10000m平均タイムは駒大が史上最速となる28分24秒65で1位、青学大が28分29秒40で2位。青学大は登録16人全員が10000m28分台という陣容で原晋監督は「青学大史上最高チーム」と表現している。

 両校の戦力を比較すると、ハマったときの爆発力は駒大が上になるだろう。エース田澤廉(3年)は5月の日本選手権10000mで2位。全日本大学駅伝は7区で3人を抜いてトップを奪うと、12月4日の日体大長距離競技会10000mで日本人学生最高の27分23秒44(日本歴代2位)を叩き出している。田澤は2区が有力で、「日本人トップは最低限。ライバルですか? 強いて言えば(東京国際大の)ヴィンセントです」と頼もしい。

 さらに全日本大学駅伝を欠場した〝主力〟も復帰予定。関東インカレ2部の5000mと10000mで青学大勢を抑えて日本人トップを奪った唐澤拓海(2年)は11月14日の世田谷246ハーフマラソンで3位(1時間2分45秒)に入るなど調子を取り戻している。日本選手権10000m3位の鈴木芽吹(2年)は9月に右大腿部を疲労骨折したが、11月からトレーニングを再開。本人は「箱根には絶対に間に合うと思う。個人的には2~4区を走りたい」と出場に意欲を燃やしている。

 一方、山は前回5区を鈴木(区間4位)が担当。6区で区間賞を獲得した花崎悠紀(4年)は登録メンバーから外れている。新たな選手が山を走ることになりそうだ。復路は全日本大学駅伝で〝アンカー決戦〟を制した花尾恭輔(2年)ら前回経験者が軸になるだろう。