ボディサイズは3395×1475×1655mm、ホイールベース2495mm、最低地上高145mm、最小回転半径4.8m。鎌倉の狭い路もまったく問題ない

軽自動車&EVカーへの期待

 JR横浜駅で降車し西口へと向かった。目的は日産グローバル本社で、EVカー(電気自動車)『サクラ』の試乗会に参加するためである。とくにクルマ担当ではない筆者にとっては久しぶりの試乗会であり、しかも車種がEVカー。新鮮な気持ちで臨んだのである。

 結構早めに到着したので、受付で試乗車のカラーを選ばせてもらえた。とはいえ、何がいいのかわからないので、クルマの名前と同じ”さくら”色という、何の撚りもないカラー選択をしてしまった。もちろん、とってもいい色である。ちなみにこのボディカラーの正式名称はシルキーライラックという。

 そして、日産の方々から『サクラ』の説明を聞く。この日の試乗行程は、横浜からリビエラ逗子マリーナに横浜横須賀道路で向かい、そこで昼食、その後は自由に逗子、鎌倉周辺をドライブし、横浜の日産グローバル本社に戻るというものだった。

 ミーティング後、試乗車がある駐車場に向かう。ルックスはキュート。サクラ色もいい感じである。クルマに乗り込むと思った以上に広い。インテリアも充実し、タッチスクリーンやインフォテイメントが採用されており、日産自慢の先進安全技術「プロパイロット」をはじめ、多くの安全機能が搭載されている。

ステアリングは本革巻でインストパネルも高級感がある。シートは合皮と肌触りのいいトリコットが使用されている

『ランボルギーニ・カウンタック』などをデザインしたマルチェロ・ガンディーニさんをはじめ、欧米のカーデザイナーたちが軽自動車のデザインを絶賛していたのがわかるような気がする。

 大きな期待を持ちながら、いよいよスタート。エンジン音がないため静かである。筆者は、軽自動車、ましてやEVカーというものに日頃乗ることがないので、どれくらいのパワーがあるのか?スピードが出るのか? がわからない。アクセルを踏みこむと、軽自動車であることを忘れてしまうかのような軽やかさ。そして、なによりも力強く走り出してくれた。モーターのトルクがアクセルを踏んだ瞬間に出るので、発進や加速がスムーズなのである。

力強く軽快な高速走行

 その印象は高速道路に乗ってからも変わらない。というか、より実感できたというべきだろう。しっかりと加速してくれるし、エンジン音がないので軽自動車の乗っている実感がないのである。もちろん、高速を走る他のガソリン車と比べても遜色ない。

 走行中は、アクセルペダルの操作だけで速度調節をしてくれる「e-Pedal Step」をオンにしたりオフにしたり、ドライブモードをスポーツ、エコ、スタンダードと変えてみたりと、違いをチェックしていった。楽しいドライブであった。

 高速道路も空いていたので加速や車線変更を繰り返しながら、スムーズに逗子マリーナへと行くことができた。片道が約30kmなのだが、あっという間に着いたという感じだ。逗子マリーナでは住居棟が映ってはいけないということで、それほど撮影はしなかったが、『サクラ』はいい感じでフィットしていたように思う。

左側のエンブレムの下には「100%EV」の文字が入り、電気自動車であることが一目でわかるようになった

   ここで『サクラ』について少し説明したい。

 デビューは2年半ほど前の2022年。もう早2年半になる。日本人に馴染みのあるネーミングもあってか発売当初から注目を集めたこのモデルは、現在、国内でのEV車販売台数でトップということである。

 EVカーは、自宅に充電器があればランニングコストを抑えることもできるし、たとえば夜に帰宅して充電ケーブルをさしておけば、翌朝出かけるまでにはフル充電になっている。また、購入時には国からの補助金などがあるのも嬉しい限りだ。

右側後方に置かれた充電ポート。上が普通充電用、下は急速充電用(CHAdeMO)

 今回はチタニウムグレーのルーフやアクセントが入った新色「シルキーライラック」が登場。それに「100%EV」のステッカーが加わるなど、少し進化したということでの試乗会である。試乗車は最上位グレード「G」。2WD(前輪駆動)、バッテリーサイズは20kWhで航続距離は180kmとのこと。横浜から逗子に行き、周辺を散策しても十分である。

古都の路は小回りと静粛さがあう

 リビエラ逗子マリーナではSDGsへの取り組みを聞き、施設を案内してもらった。ランチは「FRESH、ORGANIC、LOCAL」をコンセプトに掲げた、レストラン『マリブファーム 逗子マリーナ』でいただいた。スーパーフードのキヌアをはじめ、地元の野菜や果物が使われ、ヘルシーで身体が喜びそうな料理が並んだ。

搭載のモーター(MM48型)は、最高出力47kW(64PS)/2302 – 10455rpm、最大トルク195Nm/0-2302rpm。総電力量20kWhリチウムイオンバッテリ搭載。充電走行距離は180km(WLTCモード値)となっている

 帰路は鎌倉に寄り道。134号を走り七里ヶ浜へ。比較的空いていたので、海沿いの景色を満喫しながら、気持ちのいいドライブとなった。その後は、七里ヶ浜の坂を上り下りし、山側の路を通って鎌倉市街へ。

コンパクトで静かな『サクラ』は道路幅が狭く、民家が密集した鎌倉の街には最適なクルマといえよう

 極楽寺、長谷を抜けて由比ヶ浜へと走らせる。この辺りは道幅が狭いのだが、軽自動車の『サクラ』は、何の問題もなく快適である。鎌倉の街が問題なく走れるのだから、日本のほとんどの街乗りは大丈夫、だと思う。最後に北鎌倉の明月院に寄ったのだが、ここでもかなり細い坂道をスイスイと気持ちよく走れた。

明月院付近の道幅がかなり狭い登り坂もスイスイと走り抜けた

 やはり、鎌倉のような古都では、大きさもそうだが静寂なEV車がフィットする。先に述べたように力強さもあるし、小回りも効く。それでいて室内も広いので、とても快適なのである。

 かなり鎌倉市内を走り回り、時間ギリギリまで粘った上に渋滞にも捕まったのだが、それでも航続可能距離を約30km残し帰還。

 日産『サクラ』での逗子&鎌倉ドライブは、とても快適な小トリップだった。

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リビエラ逗子マリーナとその取り組み

 リビエラ逗子マリーナは、そのスタイリッシュさからCMやPV、さらには雑誌の撮影などでよく使用されているので、一目見ればわかる人も多いだろう。かくゆう筆者もかつて撮影でお世話になったものである。現在はマリーナやホテルの運営に加え、レストラン、カフェ、イベント会場などで会員クラブや船艇販売、海洋葬などを行うなど、幅広い事業展開をしている。そんなリビエラ逗子マリーナが古くからSDGsの取り組みを行っていたことはあまり知られていないだろう。

ホテルの屋上には太陽光発電のパネルを置くなど再生可能エネルギーを活用。CO2排出削減に貢献しており、その数値は掲示板で確認できるようになっている

 そのはじまりは1980年。2006年には「リビエラ未来づくりプロジェクト」を立ちあげ、国際環境認証「ブルーフラッグ」にも認められている。さらには22年にアジアで初めてマリーナ認証を取得したという実績あるとのことだ。また防波堤に薄膜太陽光パネルを設置し、船の給電に活用。マリーナでは藻場再生を行ない日本の海洋環境の回復を目指す「ブルーカーボンベルト」構築のための活動もしている。さらにマリーナ内のホテルやレストラン、バンケットなどイベント会場などでは100%再生可能エネルギーを使用し、レストランでの料理にはサステナブルな水産物を使用。キッチンから出る野菜くずをたい肥として使って野菜を栽培する食の完全リサイクルを行っているという。SDGsについては徹底しており、社員にもEV車への乗り換えを推奨。その購入補助も行っている。もちろんホテルには充電スタンドが設置されている。

リビエラ逗子マリーナ内にあるマリブホテルにはV2B(Vehicle to Building)を装備している屋上には太陽光発電のパネルを置くなど再生可能エネルギーを活用している

 さらにはマリーナの充電スタンドでは非常時にバッテリEVから電気を取り出して、館内に電気を供給する「放電」も可能なのだとか。これは日本のホテルで初めてのことだという。つまりリビエラ逗子マリーナは、オシャレなだけではない、環境にも十分配慮した最先端のリゾート施設なのである。

リビエラ逗子マリーナ 神奈川県逗子市小坪5-23-9 TEL: 0467-23-2111