往路Vを狙う大学は?

 往路では〝2強〟の前を走る可能性が高いチームがある。前回、往路Vを飾り、復路の終盤まで独走した創価大と10月の出雲駅伝で初優勝を奪った東京国際大だ。

 創価大は前回の往路Vメンバーが4人。2区(区間6位)のフィリップ・ムルワ(3年)、3区(区間3位)の葛西潤(3年)、4区(区間2位)の嶋津雄大(4年)、5区(区間2位)の主将・三上雄太(4年)だ。ムルワと嶋津は10000mで27分35秒29、28分14秒23をマークするなど1年前よりも確実にパワーアップした。

 今季は故障で出遅れていた葛西も11月末の10000mを28分43秒40の自己新で走るなど調子を上げている。登録選手上位10人の10000m平均タイムは前年の13位から5位(28分35秒81)に急上昇。葛西が入る可能性のある1区で好スタートを切ることができれば、前回の〝再現レース〟も夢ではない。

 東京国際大は創価大以上に往路のインパクトがある。出雲駅伝は1区山谷昌也(3年)がトップと5秒差につけると、3区丹所健(3年)が日本人トップの快走で先頭を突っ走った。最後は6区イェゴン・ヴィンセント(3年)が悠々と区間賞を獲得している。全日本大学駅伝は2区山谷が区間5位。区間賞・区間新の走りを見せた3区ヴィンセントと6区丹所のところでトップに立った。

2021年10月10日、出雲駅伝で1区を走る山谷昌也(東京国際大) 写真:SportsPressJP/アフロ

 箱根駅伝では1区山谷、2区ヴィンセント、3区丹所という超先行型オーダーで往路Vを奪いにいく戦略が濃厚だ。山谷は10000mで28分11秒94のタイムを持ち、ヴィンセントは2区の区間記録保持者。丹所は出雲と全日本で他の日本人選手を圧倒した。3区終了時までにどれだけのリードを奪うのか。前回4区(区間13位)の宗像聖(3年)も出雲5区を区間3位と好走している。山をうまく乗り切ることができれば、前回の創価大のように視聴者をドキドキさせるようなレースが期待できるだろう。

 箱根駅伝は10区間の長丁場だが、近年は終盤での大逆転は少なくなっている。前回の〝ミラクル逆転劇〟を除けば、2009年以降は8区終了時にトップの大学がそのまま逃げ切っている。大激戦の優勝争い。最初に大手町に姿を見せるのは藤色のタスキか、それともフレッシュグリーンか。もしくは別のカラーリングかもしれない。