新型コロナウイルスに関する大量の情報の中には、不正確でミスリーディングさせるものや誤情報・デマも多い。真偽を見極め、デマ拡散に加担しないために、情報の受け手側はどう対処すればいいのか? 『ネット炎上の研究』著者・山口真一 国際大学GLOCOM准教授に、讃井將満医師(自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長)が聞く(全3回の第2回)。連載「実録・新型コロナウイルス集中治療の現場から」の第72回。
この2年間、新型コロナウイルス感染症についてはさまざまな情報が大量に駆け巡りました。その中には、不正確でミスリーディングさせるものや誤情報・デマも多くありました。そういった誤情報・デマに踊らされないためにはどうしたらいいのでしょうか? 前回(「ワクチンデマはなぜ広がるのか?」)に引き続き、計量経済学というデータ分析手法によってネットメディアなどを研究されている経済学者の山口真一先生に、誤情報・デマへの対処法を伺いました。
否定されるとさらに考えを強固にする人たち
讃井 前回、政府に対する信頼度が低いと、政府が新型コロナ感染症やワクチンの情報を出してもなかなか信頼できないという話をしていただきました。逆に言えば、政府が情報をオープンにして丁寧かつわかりやすく説明すれば、科学的事実はきちんと伝わるのでしょうか?
山口 「ワクチンを打つと不妊になる」というデマに対し、ワクチン接種推進担当大臣だった河野太郎さんがメディアに出てファクトチェックをもとに明確に否定したことがありました。この時、河野さんの説明以前はTwitter上でデマを信じている人の割合は約60%いました。しかしそれが説明後に約30%にまで低下したんです。このようにファクトチェックの結果が広まれば、疑いの目を向けている人たちがある程度考えを変えてくれるということが、今回私が研究した中でわかりました。