(金 興光:NK知識人連帯代表、脱北者)
北朝鮮国営の朝鮮中央通信は10月20日、同国が19日に新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験に成功したと伝えた。
注目されるのは、この日がちょうど、韓国初の国産宇宙ロケット「ヌリ号」打ち上げの前日だったことだ。どう見ても、北朝鮮の長距離ロケット技術のほうが、韓国より一枚上であることを誇示しようというにおいがぷんぷんする。
もっとも、発射は成功したと北朝鮮の官営メディアは騒ぎ立てたが、発射実験の現場には「ロケットマン」こと金正恩総書記の姿はなかった。なぜ彼はこの屈指のイベントに顔を出さなかったのだろうか。
世界は今、北朝鮮がゲームチェンジャーになり得る戦略潜水艦と新型SLBMをいつ完成させるのかという点に注目している。それゆえに、核実験と肩をならべるであろう新型SLBMの発射に、金正恩総書記が欠席したという事実は、無関心で済まされる問題ではない。
韓国の左派メディアをはじめとする大部分のメディアは、今回の潜水艦弾道ミサイル実験に金正恩総書記が参加しないのは、北朝鮮の弾道ミサイル発射に対して厳格な態度を取る国連と米国を刺激しないための計画的ボイコットだという見方を取る。もちろん、このような分析は妥当だが、前後の文脈に多少でも注目すれば、釈然としない点も残る。
そこで今回は事実に基づき、ここ最近、金正恩総書記がなぜミサイル発射場に現れないのかを考察していく。
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