(金 興光:NK知識人連帯代表、脱北者)
ネットフリックスの韓国ドラマ「イカゲーム」は、全世界の1億4200万世帯が視聴するなど大旋風を巻き起こしている。この映画の大成功で、ネットフリックスは新規加入者を約440万人も増やした。
「イカゲーム」で大当たりした、ネットフリックスのリード・ヘイスティングスCEO(最高経営者)は、10月19日(現地時間)に実施された第3四半期実績発表直後、イカゲームの服装で楽しそうにインタビューに応じていた。
意外なことに、「イカゲーム」は北朝鮮でも予期せぬ反応を引き起こしている。今回は内部消息筋からの伝言をお届けするとしよう。
◎金興光氏の過去の記事はこちらをご覧ください(https://jbpress.ismedia.jp/search?fulltext=%E9%87%91+%E8%88%88%E5%85%89)。
北朝鮮媒体に初めて掲載された韓国映画評
「イカゲーム」のヒットに関して、対韓国向けの宣伝材料として活用できると判断した北朝鮮は、官営メディアを動員してドラマに対して激しい誹謗中傷を展開しているが、体制内部では思わぬ収穫と歓迎しているようだ。このちぐはぐな状況は北朝鮮の内部を知る筆者にとっては意外である。
内部消息筋によれば、朝鮮労働党宣伝部は「イカゲーム」に対する賛否両論を前に、批判の方に重きを置き、これを活用している。資本主義社会、特に北朝鮮住民の中に根付いている韓国の豊かさと自由に対する羨望を一発で吹き飛ばすことのできる話題だと判断しているのだ。
事実、これまでに北朝鮮が韓国の個々の映画に対して、メディアで評論を載せるケースはほとんどなかった。だが、「イカゲーム」は違う。9月17日の公開後から今日まで、二度にわたって「イカゲーム」の否定的な影響を述べた批評を掲載している。
例えば、10月19日に北朝鮮の対外宣伝媒体である『メアリ(こだま)』に掲載された、ある批評記事の一部を見てみよう。