NORとNANDの市場動向

 図5に、NORとNANDの出荷額の推移を示す。NORは、東芝からライセンスを受けたインテルが1988年に商用化したこともあり、NANDよりも早く市場が立ち上がっている。これに対して、NANDの市場が立ち上がり始めたのは2000年以降であり、NORよりも遅かった。

図5 NORとNANDの出荷額の推移
出所:WSTSのデータを基に筆者作成

 しかし、NANDは、デジタルカメラ、アップルの音楽プレーヤーiPod、携帯電話など、次々と市場が開拓され、その規模が拡大していった。そして、2004年には、NANDがNORを追い越した。さらに、2007年に米アップルがiPhoneを発売した後、NANDは各社のスマートフォンに採用された。加えてPCやサーバーなどのコンピュータの記憶装置のHDDを、NANDを基幹部品とするSSDが代替するようになっていった。

 その結果、メモリバブルのピークとなった2018年に、NAND市場が過去最大の542億ドルを記録した。その反面、NOR市場はその20分の1の21.7億ドルに留まっている。

NORの出荷個数はNANDの40%弱もある

 次に、NORとNANDの出荷個数の推移を図6に示す。NANDの出荷個数がNORを追い抜いたのは、リーマン・ショックが起きた年の2008年である。NANDは2000年以降、右肩上がりに出荷個数が増大し、2016年以降、約110億個で横ばいになる。これは、2016年頃から、2次元構造だったNANDが3次元化したことによる。

図6 NORとNANDの出荷個数の推移
出所:WSTSのデータを基に筆者作成

 一方、NORの出荷個数は、2017年に一時的なピークがあって約57億個を出荷しているが、それを除くと、2008年以降は約40億個で推移している。NORの出荷額はNANDの20分の1しかないが、NORの出荷個数はNANDの40%弱ほどある。NORがこれほど出荷されていたことに、筆者は相当驚いた。

 NORの単価は安く、それゆえ出荷額は小さいが、各種電機製品やゲーム機用にとっては必要不可欠なメモリになっているということであろう。

 そのNORの単価が高騰し、出荷額も出荷個数も増大している。しかし、サムスン電子など最先端のメモリメーカーがNORから撤退しているため、今後、NOR不足が深刻化する可能性がある。これは、最近明らかになった新たな「半導体不足」の1つである。コロナによってもたらされたニューノーマルが、NOR市場を活性化させるかもしれない。