(湯之上 隆:技術経営コンサルタント、微細加工研究所所長)
ニューノーマルが定着?
コロナの感染拡大により、我々の生活や仕事は大きく変わった。緊急事態宣言の発出などで、ネットショッピングが急拡大し、リモートワークやオンライン学習が普及した。また、ステイホームを余儀なくされたため、快適に自粛生活を送るために各種電機製品やゲーム機が売れるようになった。要するに、ニューノーマル(新しい生活様式)が世界的に普及した。
その後、世界中でワクチン接種が進んだため、コロナの爆発的な感染は抑えられてきた。まだ年末に向けて第6波の到来の危険性はあるものの、少しずつ、規制は緩和されようとしている。
ところが、半導体不足の問題は依然として解消されていない。それどころか、東南アジア諸国のロックダウンの影響で、半導体はもちろん、それ以外の部品が調達できず、各種電機製品やクルマがつくれない事態が続いている。
さらに、欧米のロックダウンや日本の緊急事態宣言が解除されても、人々の生活はコロナ前の状態には戻らず、ある程度ニューノーマルが定着しているようである。というのは、各種電機製品やゲーム機用の半導体の市場拡大が依然として続いているからである。
本稿では、まず特定用途向けロジック半導体(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)の動向から、電機製品やゲーム機用に使われるASICが今も増大傾向にあることを示す。次に、やはり電機製品やゲーム機に使われるNOR型フラッシュメモリ(以下「NOR」)の価格が高騰しており、その出荷額も出荷個数も増大していることを説明する。その際に、もう1つのフラッシュメモリのNANDとの比較を行い、今後、NORの供給不足が続くかもしれない推論を述べる。