NORの価格高騰と出荷動向

 2021年9月30日付日経新聞電子版によれば、2020年後半まで1.1ドルだった256MビットNORの大口取引価格が、2021年7~9月には2倍の2.2ドルに高騰したという(「NOR型メモリー価格1年で2倍 家電・ゲーム向け底堅く」)。

 フラッシュメモリには、NORとNANDの2種類がある。どちらも、東芝に在籍していた舛岡富士雄氏が発明した不揮発性(電源を切ってもデータが消えない)メモリである。その2つのフラッシュメモリの特徴を図2にまとめた。

図2 NOR型とNAND型の特徴比較

 現在フラッシュメモリの主流となっているNANDに対して、NORは、データの書き込み速度が遅く、消去速度も遅いが、読み込み速度が速いという特徴がある。この特徴を利用して、例えば電機製品やゲーム機のプログラムを格納することなどに使われる。データ保持の信頼性が高いことも、プログラムの格納にとっては長所となる。

 そのNORの出荷額と出荷個数の動向を図3に示す。2021年に入ってから、出荷額も出荷個数も、急激に増大していることが分かる。出荷額は、2021年8月に月次では過去最高の2.94億ドルとなった。出荷個数は2021年3月に過去最高の6.25億個を記録した後、一旦減少するが6月頃から再び増大し始め、8月には3月の過去最高に次ぐ5.66億個を出荷した。

図3 NOR型フラッシュメモリの出荷額と出荷個数
出所:WSTSのデータを基に筆者作成

 前掲の日経新聞には、NORについては、韓国サムスン電子が撤退し、米マイクロン・テクノロジーも供給を絞っていると書かれている。韓国SK hynixやキオクシアの動向は分からないが、NANDほどリソースをかけて開発・生産を行っているとは思えない。したがって、「NORが足りない」こと、および「NORの価格が高騰」することは、今後も当分続くと考えられる。

 このように、コンシューマー用ASICの出荷個数が増大し続けていること、および、電機製品やゲーム機のプログラムの格納に使われるNORの市場が拡大していることから、冒頭で述べたように、人々の間でニューノーマルが定着してきていると思ったわけだ。