ASICの出荷動向

 コンシューマー、コミュニケーション、コンピュータ、クルマ用のASICの出荷個数動向を図1に示す。ここで、クルマ用ASICの出荷個数は非常に少ないため、右軸でグラフを書いてある。

図1 特定用途向けロジック半導体(ASIC)の出荷個数(~2021年8月)
出所:WSTSのデータを基に筆者作成

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 まず目を引くのは、2020年後半から、電気線品やゲーム機などのコンシューマー用ASICの出荷個数が急速に増大していることである。また、コンピュータ用ASICの出荷個数も右肩上がりに増大している。これらは、9月以降も出荷個数が増大していきそうな勢いである。

 一方、スマートフォン向けなどコミュニケーション用ASICの出荷個数は、乱高下が激しい。これは、季節性の変動要因が関係しているかもしれない。さらに、クルマ用のASICは、2020年中旬に落ち込み、その後、増加していくが、2021年3月以降は横ばいになっている。

 ここで、クルマ用ASICの出荷個数が2020年中旬に落ち込んでいるのは、クルマメーカーがジャスト・イン・タイムの生産方式にしたがって車載半導体の発注をキャンセルしたことに原因がある。また、2021年に入って出荷個数が増大したのは、クルマを国の基幹産業としている日米独の各国政府が台湾政府経由でTSMCの増産要請を行い、TSMCが応急処置で増産を行ったことによる。

 しかし、2021年2月にはテキサス州の寒波により車載半導体メーカーのドイツのインフィニオンとオランダのNXPの工場稼働が停止し、3月にはルネサス那珂工場が火災で停止した。そのような影響から、2021年3月以降は、クルマ用ASICの出荷個数が横ばいになったのだろう。クルマ用半導体不足は、今後も当分続くと考えられる。