ミュンヘンモーターショー「IAA MOBILITY」の長城汽車「ORA」のブースに展示されたEV「CAT(好猫)」。欧州記者陣の関心の高さが伺える(写真提供:内海志保さん、画像の一部を加工しています)

(姫田 小夏:ジャーナリスト)

 9月7日~12日、ドイツでミュンヘンモーターショー「IAA MOBILITY 2021」が開催された。数多く出展された電気自動車(EV)のなかで、欧州記者陣の注目を集めたのは中国の電気自動車だ。中国EVメーカーは、環境規制が強まる欧州市場に大きな商機があると捉えている。だが、欧州市民に“中国製品アレルギー”はないのだろうか。

欧州でのマーケティングに本腰

 ドイツ自動車産業連合会(VDA)が主催するモーターショーは例年フランクフルトで開催されてきたが、今年からミュンヘンに会場が移された。ミュンヘンで見本市関連事業を手掛ける「kobepublishing」の内海志保さんが会場を訪れ、現地の様子をLINEの動画機能を使って送ってくれた。

 今回のモーターショーには700社近くが出展、ドイツ資本の企業が多数を占める中、中国からは11ブランドが出展した。最も目立っていたのが、中国最大の民間自動車メーカーで、海外展開に本腰を入れている長城汽車である。同社の「ORA(欧拉)」ブランドはBMWやMINIのブースに近接する場所に、「WEY(魏牌)」ブランドはメルセデスのブースに接近する場所に出展していた。

 ドイツで開かれる展示会への日本企業の出展をコーディネートしてきた内海さんは、「これまでミュンヘンで行われた展示会では、中国の出展企業は巨大スペースを一括で借り上げて『中国パビリオン』を形成するのが一般的でした」という。だが今回のモーターショーでは、中国企業は各社が独自にブースを確保し出展している。