コロナ禍の中でも高校球児による熱戦が繰り広げられている阪神甲子園球場(写真:アフロ)

 夏の甲子園がコロナ禍で大激震に見舞われている。第103回全国高等学校野球選手権の大会本部は出場校の宮崎商(宮崎)と東北学院(宮城)がチーム内での新型コロナウイルス感染が判明したことを受け、出場を辞退したと発表。両校ともに不戦敗扱いとされ、大会期間中の辞退は史上初めてのケースとなったことから衝撃が広がっている。

 両校の球児たちの無念を考えると胸が詰まる思いだ。しかし、その一方で両校の「辞退」については釈然としない点がいくつかある。

大会本部は宮崎商の「出場辞退」申し入れを待っていたのではないか

 宮崎商は選手らの陽性者数が13人にまで広がり、濃厚接触者も8人となった。大会本部側は感染対策ガイドラインに基づき、宮崎商の症例については「集団感染」と判断している。

 ちなみに大会の感染対策ガイドラインでは代表校の選手らから感染者が出た場合、保健所などの判断を踏まえながら「集団感染」か「個別感染」かを見分けることを重要視して対応を協議すると定められている。

「個別感染」の事案と判断した際には当該選手の入れ替え等で対応し、チームとしての出場は差し止められず容認される。「集団感染」と判断される場合にはチームは出場できなくなり、代表校の差し替えも行わない。大会本部が会見で発表した内容からも、宮崎商は後者と判断されたことが明らかになっている。

 だが冷静に考えてみると、どこかおかしい。どうして集団感染と判断された宮崎商は「辞退」だったのだろうか。