もっとも、そもそも「内緒のどぶろく」は法律に反しているわけだから、そんな定義に意味はない。すべてはつくった人の好み、自由なのである。
濾さないものには独特の飲み口があるが、濾したものは「くいくいっ」といけるよさもある。それゆえ、自分でどぶろくづくりに取り組むような飲兵衛の方は「やはり濾したほうが・・・」となるようだ。自分で醸したどぶろくは我が子のように愛おしい。みんな、「うめえなあ」と愛おしそうに飲んでいた。
海外向けに日本酒自家醸造キットも
ここだけの話だが、触発された私も『台所でつくるシャンパン風ドブロク』(農山漁村文化協会)という本を入手、こっそり挑戦してみたこともある。できあがったどぶろくは、先輩方の味には到底及ばなかったが、甘み、酸味がほどよく、しっかりシュワッとする。我ながらなかなかの出来だった。何より、自分で作った酒だということがうれしく、味わい深かった。
私が参考にしたような、どぶろくの作り方を紹介する本は実は多数ある。そればかりか、最近ではなんと「日本酒自家醸造キット」も発売されている。
ただし「醸造すること」はあくまでも違法だ。その一方で、レシピ本を出版することや自家醸造キットの販売は違法ではない。
日本酒自家醸造キット「MiCURA(マイクラ)」のホームページ(https://micura.jp)をのぞいてみた。「純米吟醸 2種類の造り比べ」とあり、精米された米と麹などの材料がセットになっている。思わず喉がなるような、発酵途中の写真も掲載されており、すぐにでも試してみたくなる。しかし、やはりホームページにはこのような注意書きがあった。
<日本在住の方にもお買い求めいただけますが、日本国内での自家醸造は法律で禁じられていますので、国内での使用はお控えください>
このキットは世界に向けて販売されている。ホームページも英語と中国語にも対応している。実は、アメリカ、イギリスなど多くの国は、趣味の自家醸造が違法ではないのだ。