「ああ、醸したい・・・」

 もう一点、税収の面である。

 自家醸造を禁止した当時約30%を占めた酒税は、現在1.9%(令和2年度)。自家醸造を解禁したからといって大きな減収になるとは思えない。

 今はそれどころではないが、このコロナ禍がおさまったら、ぜひとも日本も自家醸造解禁に向かってほしい。それが結果的に、日本だけでなく、世界の「SAKE」ファンを増やすことになるのではないだろうか。

 長引く自粛生活、時間はたっぷりある。かつて飲んだ「内緒の酒」のうまさがよみがえり、「ああ、醸したい・・・」と何度思ったことか。

 しかし、うれしいことに最近は法を犯さなくてもよいと思えるようになった。以前はあまり見かけなかった「活性濁り酒」の銘柄が格段に増えているのだ。

「活性濁り酒」の「濁り」度合いも、ごく粗い目で濾した濃い濁り酒から、うす濁り、わずかに濁る「ささ濁り」など、実に多様だ。

 この背景には、流通や瓶詰技術などの発達があると考えられる。

「活性」しているため、以前は、輸送途中で瓶が割れるなどのおそれがあり、流通に乗せづらい商品だった。近年、冷蔵輸送などのおかげで、店頭販売はもちろん、通信販売で気軽に買えるようになったのである。