*写真はイメージ(フリー写真素材ぱくたそ

 コロナの猛威が続く中、外でお酒を楽しむ機会は皆無となった。そのかわりといってはなんだが、どうせ自宅で飲むならば、これまで試したことがなかったお酒に手を伸ばしてみてはどうだろう。実は、暑い夏にお薦めの「日本酒」があるのだ。

濾さないのが「どぶろく」、粗く濾したら「濁り酒」

 口に含めばシュワッとはじける爽快さ、その後で口の中いっぱいに広がる米と麹のうまみ。白くたなびく「おり」が、また味わいに奥行きを増す――。

 ある日飲んだ日本酒には、これまで経験したことのない自然のままの味わいがあった。何より、最初の「シュワッ」の爽快さが暑さまで吹き飛ばしてくれる。

 すっかりその味わいにはまった私は、その後全国各地で同じタイプの酒を追い求め、飲んだ。とにかくまあ、たくさん飲んだ。

 私が全国で飲んだ「シュワッ」とする白い酒は、一般には「活性濁り酒」と呼ばれるものだった。「活性濁り酒」とは、発酵が完了する前の元気な状態の醪(もろみ)を粗く濾し、火入れをせず、何も添加せずに瓶詰めした酒のことだ。瓶の中で発酵が続くので、その際に発生する炭酸ガスがお酒を口に含んだ際にシュワっとする理由だ。

 そしてその中には・・・一般人が趣味で醸造した「内緒のどぶろく」もあった。

 ご存じのように日本では、販売目的でなく、自分が飲む目的であっても、許可なくアルコールを醸造すれば違法である。

 それでも、自家消費用にこっそり酒造りをしている人も一定数は存在する。

 法律上の「どぶろく」は「米と麹を醸造し、濾していないもの」と定義されている。日本酒のもととなる「醪」をしっかり濾せば「清酒」になるし、粗めに濾せば「濁り酒」となる。しかし、私が巡り合った全国各地の「内緒のどぶろく」のほとんどは粗く濾されたものだった。火入れせず、発酵したそのままを飲むから、市販されている酒でいえば「活性濁り酒」に当たる。