小池氏の目にはもう「国政復帰」「総理への道」しか映っていない

 自公の政策協定の裏には、小池都知事の方針転換もある。コロナ対策についても、彼女は国と対立を繰り返してきた。パフォーマンス優先で、首相よりも自分が目立つことばかりを考えている。彼女のマスコミ向けの勇み足で、何度も政府は有効な対策を打つタイミングを逸してきたのである。首相官邸が怒るのは当然であるが、「ジジイ殺し」の特技を持つ小池都知事は、自民党の二階俊博幹事長に接近し、支援を乞うたのである。

 財政面でも、都の「貯金」を直ぐに食い尽くしてしまったために、もはや国に頼るしかなくなったのだ。そこで、小池都知事は、私党である都民ファーストの会を捨てても、自公連立政権と手打ちをしたほうが賢明だという判断をしたのである。

 公明党が、その考えに従って握手する相手を自民党に変えたので、都議会選挙の結果など何も心配しなくてよいことになる。第一党の自民党と公明党とが過半数を制して与党となれば、都政運営には何の問題もなくなる。もともと、公約などを掲げても、「ペットの殺処分ゼロ」くらいしか実現できない程度である。情報公開の約束など、実現できないところか、むしろ情報隠匿に走っているくらいだから、小池氏にしてみれば何の問題もないのである。

 哀れなのはバタバタと討ち死にする都民ファーストの会の議員であるが、小池人気にあやかって当選しただけのことであり、自業自得である。小池都知事は、その敗北に憐憫の情を催すような柔な政治家ではない。