(舛添 要一:国際政治学者)
東京五輪開幕まであと3週間。菅義偉首相が豪語するように「安全・安心」な大会運営ができるのだろうか。新型コロナウイルスの感染状況、ワクチン接種の進み具合などの客観的なデータを見るかぎり、答えは否定的にならざるをえない。
東京都では、コロナ感染が減るどころか、増えている。前週の同じ曜日よりも増加する傾向はもう10日も続いている。6月30日には700人を超え、714人となったが、1週間で95人も増えている。7月1日には673人(+103人)となっている。
この状態では、まん延防止等重点措置は継続せざるをえないし、今後の推移次第では緊急事態宣言の再発令を余儀なくされることにもなりかねない。開会式の日には感染者数が1000人に達しているという試算もあり、都民は開会式を祝う気分にはなれないだろう。
相次ぐスポーツイベントでの感染拡大、サモアは国内選手の五輪「不参加」を決定
このところ、大規模スポーツイベントで感染が拡大した例が話題になっている。スコットランドでは、6月中旬以降のサッカー欧州選手権3試合の応援に集まったファンや市民2000人が、競技場やパブでコロナに感染した。マスクも着けずに、密集状態で大声をあげて騒いだことが原因という。
また、ロシアではサッカーの応援に来ていたフィンランド人約300人が感染している。さらに帰国した彼らが本国でまた感染を広めた。国境での検査、検疫も不十分だったそうだ。
スポーツイベントのみならず、多くの人が集まると感染のリスクが高まるのは当然である。6月11〜13日に先進国サミットが行われたイギリスのコーンウォールでは、その後感染者が増え、イングランド全体よりも多くなったのである。