早くも微妙な空気が漂っている。東京五輪に出場する野球日本代表・侍ジャパンへの期待値だ。6月16日に東京五輪本大会メンバーに内定した24選手を発表。しかし球界内、関係各方面やファンの間からは疑問符が投げかけられている。

ベスト状態でないメンバーも

 内定メンバーには「ベスト」と呼べない選手も多く含まれているところが論争を呼ぶ。まず稲葉篤紀監督が「先発の柱」とみているGのエースには特に不安がつきまとう。巨人・菅野智之投手(巨人)は今季、右ひじの違和感などコンディション不良にさいなまれており、1日の広島東洋カープ戦(東京ドーム)からようやく6月13日の千葉ロッテマリーンズ戦(ZOZOマリンスタジアム)以来となる一軍復帰登板を果たす。だが、この広島戦で仮に快投したとしても、それが即座に完全復活のバロメーターにはなりにくいだろう。ここまで8試合に登板し、2勝4敗。昨季の“無双投球”とは異なり、明らかに厳しいマウンドが続いている。

 そして、もう1人。8年ぶりの国内復帰を果たした東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大投手だ。6月30日の北海道日本ハムファイターズ戦(楽天生命パーク)では7回3安打1失点と好投しながらも打線の援護を得られず今季5敗目。ただ、田中も成績の上では今季3勝5敗と黒星が先行している。試合を作っても勝ちに結びつかない印象もあるが、防御率3.00の数字が示すようにやはり「ベスト」とは断言しづらい。

 被本塁打数は9。可もなく不可もなくといったところだが、気がかりなのはここまで1試合2被本塁打を喫した日本復帰後の公式戦が2試合ある点だ。相手打者は追い込まれる前に早いカウントでファーストストライクを狙い、球種、コースにある程度のヤマを張って決め打ちする。打てなくて当然と半ば開き直った結果、絞った狙いが当たると会心の当たりへと結びつく。そのようなメジャーの打者と違う日本人打者のアプローチに田中とバッテリーは戸惑い、今も試行錯誤を続けているとの指摘も他球団スコアラーから出ている。