1兆円あった都の「貯金」、瞬く間に“消失”

 約1兆円もあった財政調整基金などの「貯金」が瞬く間に無くなったのは、主としてコロナ対策のためであるが、公明党の要求に応えるために大盤振る舞いしたことがあることも忘れてはならない。その意味で、都議会を支配する地位にいた公明党の責任は重い。

 この党は、あくまでも権力志向であり、そうなった1つの原因は、特に地方自治体においては議会で警察委員会を牛耳ることによる旨みを味わってきたことにある。

 今回の小池都知事のコロナ対策は、お世辞にも褒められたものではない。パフォーマンスのみで、実効性のある対策はとらず、飲食店などに対する指示も朝令暮改である。今回、緊急事態宣言がまん延防止等重点措置に移行するに当たって、多くの飲食店が都による規制を守らない姿勢に転じたのには理由があるのである。都民の多くが失望し、小池支持率は低下している。

 都知事の失政は、与党をリードする公明党の責任でもあるが、それは棚に上げて、都民ファーストの敗北が確実視される中で、公明党はあっさりと都民ファーストの会を捨て、今度は自民党と握手した。その結果、自民党は現有の25議席を倍増させる勢いである。コロナ下で全国から創価学会員を動員できないこともあって、公明党は現有議席を減らす可能性もある。しかし、自民党大勝の予想が当たれば、都議会では第一党とともに二人三脚で動けることには変わりない。