ようやく諸外国並みに近づく第一歩

 現場では今、新法の効力だけではいかんともしがたく、地主の多くは、吸引力ある外資の方へなびいてしまっている。

 とりわけ北海道全域と中九州では、サイレントな大地(国土)買収が止まらず、重要施設周辺の買収とは別の切り口で、目立たないかたちの布石が打たれている。

 今回、無防備だった日本で、はじめて防衛的な調査ができるようになったが、国際比較すると、まだまだ周回遅れである。

 中国、インドネシア、フィリピンでは外国人の土地所有は不可だし、インド、シンガポール、マレーシアも制限付きだ。韓国は外国人土地法によって島嶼地域等の海岸部は、許可がなければ売買ができない。

 アメリカもハワイ、アラスカなど四割の州で規制しており、2020年2月からはCFIUS(対米外国投資委員会)の審査対象として不動産投資が加わった。

 スイスにはコラー法(連邦法)があって、土地の「過剰外国化」を阻止するとまで明記しており、無許可の取引は無効で登記不可。届出違反の土地は没収となる。外国人の別荘取得にも制限があり、全国で1500件の枠しか認めていない。

 世界標準で考えると、国家として〈買われてしまうと国益を損なうモノ〉や〈買い戻せないモノ〉は売ってはならないという視点が普通の国では備わっている。特に2017年以降は、中国の一帯一路に対抗し、太平洋周辺諸国のオーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、韓国、そして欧州フランスでは外資買収の規制強化や禁止など、警戒アラームを作動させはじめている。

 日本もようやくこの流れに乗り始めたが、今回の新法制定で一件落着ではない。

 次の世代に禍根を残さない法体系となるよう、私たちは憲法改正を含めたルール変更の第二段階を目指し、踏み出さなければならない。それを肝に銘じたい。

 新法については来年の施行に向け、政令以下が整えられていくことになるが、ことあるごとに反対し続けるセクターは、いったいどの国に本拠をもっているのか、問われなければならないだろう。一連の騒ぎをほくそ笑みながら見守っている国がきっとあるはずだ。