主要7カ国首脳会議(G7サミット)は6月13日に共同宣言を出して成功裏に終了した。
その共同宣言において「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す」と中国に注意喚起している。
この文言は菅義偉首相とジョー・バイデン大統領が欧州諸国の慎重論を押し切って盛り込まれたものだという。
G7サミットで台湾海峡に関する宣言が出されたのは初めてであるが、この宣言に対して台湾政府は、「台湾海峡の平和と安定を重視するための具体的な行動を取ったことを大いに歓迎し、心から感謝する」とコメントしている。
このエピソードは日米台の近年まれにみる親密さを象徴している。
一方で、中国当局はこの宣言に激怒し、台湾統一について決意を新たにしているであろう。
香港に引き続き台湾までも中国の力に敗北してしまえば、民主主義陣営にとって大きな打撃になる。
特に台湾に隣接する我が国の安全保障や経済などに非常に大きな悪影響を及ぼすことになるだろう。
本稿では、中国による台湾の軍事統一が絵空事ではなくて、現実のものになっているという事実を伝えたいと思う。
習近平主席の台湾統一への思いは強い
習近平主席の台湾統一にかける意気込みは前任者たちとは違う。
彼は、中国の夢である「中華民族の偉大な復興」の完成のためには台湾の統一が不可欠だと思っている。
例えば、2017年には「完全な国家統一は中華民族の偉大な復興を実現するために不可避な要件である」と表明している。
中国の指導者たちにとって、主な関心事は台湾軍事侵攻のコストではなく主権である。
彼らはいつも自分たちのものだと信じるもののために戦う。そして中国が米国を打ち負かした場合、中国がアジア太平洋における新たな支配的勢力となれると思っている。