最近、「香港の民主化運動を力で押さえつけ、北京オリンピックが終われば、中国は台湾に侵攻する」といった情報がある。
一方、北朝鮮(以後、北)は、虎視眈々と韓国占領を狙っている。
台湾有事と朝鮮半島有事とが、それぞれ別個に注目されているが、私が恐れるのは、それらが同じ時期に引き起こされることだ。
中国と北は、1961年に「中朝友好協力および相互援助条約」という軍事同盟を結び、60年経過した現在でも、中国が有事の場合いつでも朝鮮半島に軍事介入できることを定めた「自動介入」条項が存続している。
金正恩委員長は、習近平主席への表敬のため、北京を4度訪れた。中国に対して、中国の傀儡政権に作りかえられるかもしれないという不信感もありながらの訪問である。
中国皇帝に諸国の長(北)が貢物を献上して頭を床に着くまで下げ挨拶する、これによって、諸国が攻撃を受けた場合は皇帝がこの国を守るという漢時代からの「冊封(さくほう)」という関係のようだ。
中国は、各方面にわたって北を支え続けている。
中国は、北への国連制裁を守らず、知らぬふりをして陰で支援している。「血の友誼」と呼ばれる軍事同盟も健在で、先端軍事技術も供与している。
金正恩政権が、三重苦と見られていてもなお健在なのは、中国からの支援があるからだ。
そして、北は中国が国際的批判を浴びても、擁護する意見を発信している。
このように、相互に同盟関係が強まっている今、台湾の占領を狙う中国と韓国の占領を狙う北が、陰で手を結ぶという可能性が考えられる。
その場合、台湾侵攻と南侵という最悪の危機が発生するということになる。
そこで、中朝が共同連携して同時に侵攻する可能性があるのか、軍事的合理性があるのか、同時侵攻で新たな脅威認識と防衛態勢が必要か、について考察する。