米国のジョー・バイデン大統領は、世界の首脳の中で最初に対面会談する相手として日本の菅義偉首相を選んだ。
米国にとって日本は最も重要な国だと世界に示した形である。会談では、覇権主義的な行動をとり国際秩序を乱す日米の共通の敵である中国に、共同で対抗するという認識で一致した。
併せて、「台湾海峡の平和と安定の重要性」を強調、「日米安保条約5条が尖閣諸島に適用される」ことが再確認された。
具体的には、日本には最前線である尖閣が有事になれば、米国に介入してもらう。台湾には、米国に現状維持を支持・支援してもらうというものだ。
中国、日本、台湾を中心に地図を見ると、米国に介入してもらうという片務的に見える。だが、米国の関係を環太平洋の地勢で眺めてみれば、日米同盟は、片務的ではなくて、双務的に見える。
この理由について以下考察する。
米ソ冷戦時代の日米同盟は片務的
ソ連邦崩壊以前の東西冷戦時代には、米ソは相互に北極海に面して対立し、その上空を核ミサイルが飛び交う戦争の脅威があった。
米ソ戦以外にも、旧ソ連が強大な軍事力を使って領土を拡張するために、欧州方面や日本へ侵攻すると考えられていた。
だが、旧ソ連軍が米国本土に上陸して戦う可能性は、ほぼゼロであった。
北極海に面して対峙する米ソと日本と欧州への旧ソ連の脅威