韓国の文在寅大統領(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

(武藤 正敏:元在韓国特命全権大使)

 米国の対北朝鮮政策の検討が終了したという。ロイター通信によれば、ホワイトハウスのサキ報道官は4月30日、ペンシルベニア州フィラデルフィアに向かう大統領専用機エアフォースワン内で、同乗した取材陣に対し、対北朝鮮政策検討を終了したとしつつ、「米国の目標は朝鮮半島の完全な非核化」であり「米国の政策は北朝鮮との一括妥結を必要としない」「米国の政策は北朝鮮の非核化に対する微細で実質的な接近を要求する」と述べた。

 つまり検討の結果、北朝鮮に対しては、外交を模索するものの、トランプ前政権のように一括妥結は推進せず、オバマ政権式の戦略的忍耐も繰り返さないと明らかにしたのだ。ただ、その詳細については明らかにしていない。

北朝鮮へ交渉再開のシグナル送る米国

 一方、5月4日(日本時間)からロンドンで始まったG7外相会合の場を利用して、日米韓外相会談が行われるのではないかと見られている。G7外相会談には韓国の外交部長官も英国の招待で出席している。

 米国のブリンケン国務長官は日米韓協力のため、日韓間では対話すらない状況を危惧している。北朝鮮政策の協議ということで仲介の労を取り、検討終了を踏まえた最初の日米韓の具体的な政策調整が行われるであろう。