カメラマンにはトラブルさえも「ネタ」
その後も現場に留まり、普賢岳の取材を続けた。そのうちに自衛隊が大型ヘリにカメラマンを乗せて、被災現場周辺を飛行してくれる機会を設けてくれた。現場に集まっているカメラマン全員は一度に乗り切れないので、3回に分けて行われた。
私がヘリに乗った時、旋回の途中でローターが火山灰を吸い込んで突然停止し、ゆっくりと畑に墜落した。幸いケガ人はいなかったが、心底肝を冷やした。
その後、自衛隊の装甲車に収容されて麓に戻ったが、知人のカメラマンに事の顛末を話すとこう言われた。
「それはラッキーだったね。俺もそのヘリに乗りたかったなぁー」
実に残念そうに呟くのだ。その言葉を聞いて、なぜか「ラッキーだったな」という気持ちになった。トラブルさえもわれわれにとっては格好の「ネタ」なのだ。
やはり「骨の髄まで好奇心」、これがカメラマンの性なのだ。