アルファ粒子とかベータ粒子などと呼ばずにヘリウム原子核と電子と呼べばいいのでは、と思われるかもしれませんが、これらの名前は放射線がまだ正体不明だったころにつけられた名前で、歴史の経緯によってその名が残っているのです。

 ちなみにアルファ線とベータ線を発見・命名したのはアーネスト・ラザフォード(1871-1937)です。どうせならもっと個性のある名前にすればいいと思うのですが、「1号放射線」と「2号放射線」のような味気ない名前がつけられたのは残念です。

 ガンマ線は電磁波です。可視光や赤外線や電波も電磁波ですが、ガンマ線はこれらに比べて桁違いにエネルギーが高いです。

 ちなみにガンマ線を発見したのはポール・ヴィラール(1860-1934)ですが、どういうわけかラザフォードがでしゃばってきて名前をつけました。しかもそれでつけたのが「3号放射線」みたいなつまらない名前です。どうしてそういうことをするんでしょうか。

 これらの放射線を普通の水に当てると、岩石などの触媒がなくても、水分子が分解してある程度の水素分子が発生します。これは放射線分解といって、古くから知られている現象です。

 アルファ粒子とベータ粒子は電気を帯びていて、これが物質中を通りすぎる際、進路にあった分子から電子を弾き飛ばしたり、分子を壊したりします。(ガンマ線は物質と反応すると高エネルギーの電子や陽電子を作るので、結局ベータ線と同じ結果をもたらします。)

 その結果、放射性物質から発射されたこれらの放射線は、水分子の多いところでは水を分解して水素分子や過酸化水素分子を作るのです。