放射線て何だっけ?

 原子という粒の中心には原子核というさらに小さな粒があります。原子核は「陽子」という粒と「中性子」という粒が数個~数百個集まったものです。

 原子核の種類(核種)は陽子と中性子の数で決まります。ある種の原子核は生まれつき不安定で、しばらく時間が経つと壊れて別の原子核に変わってしまいます。原子核が壊れることを「崩壊」あるいは「懐変」などといいます。

 核種の中には極端に不安定なものもあり、そういう原子核は生まれた途端に崩壊してしまうので、地中にはまず見当たりません。

 核種の安定性は「半減期」で分かります。半減期はその核種の集団が崩壊して半減するまでの時間です。半減期が短い核種は不安定で、長いものは比較的安定です。(真に安定な核種は崩壊しません。)

 地中でも見つかる、比較的安定な核種には、ウラン238(半減期45億年)、トリウム232(半減期140億年)、カリウム40(半減期12億年)などがあります。ウラン238の半減期は地球の年齢の46億年に近いので、46億年前に宇宙の塵やガスが集まって地球を作った時に混じっていたウラン238は、現在では半分に減っていることになります。

 原子核の崩壊にともなって飛び出す、エネルギーの高い粒子を放射線といいます。アルファ線、ベータ線、ガンマ線といった種類があります。

 アルファ線は、中性子2個と陽子2個がくっついた粒が飛び出すものです。この粒はアルファ粒子と呼ばれますが、ヘリウムの原子核でもあります。地中から漏れ出るヘリウムガスは、地中の放射性物質の発したアルファ粒子の成れの果てです。

 ベータ線はベータ粒子が飛び出すのですが、ベータ粒子の正体は電子です。電子は原子の中に含まれるありふれた粒子ですが、原子核崩壊にともなって飛び出す電子はエネルギーが高く、光速に匹敵する速さです。