近隣諸国・地域への配慮、十分だったか

 このように、中国、韓国、台湾と、まるで火山が噴火したような爆発なのである。今後は、中国が音頭を取って「反日包囲網」を敷くリスクすら出てきた。

 菅政権は、いったい何を考えているのか? アジアの国で大使経験がある元外務省高官が嘆いて言う。

「今回の菅首相の決定は、まもなく福島の処理水保管タンクが一杯になってしまうという国内事情と、15日の自らの訪米を前にアメリカの同意を取り付けたいという日米同盟の事情によるものだった。つまり、アジアの周辺諸国・地域に対する配慮は皆無だった。

 こうした決定を行うのであれば、菅首相か茂木敏充外相が、IAEAがまったく問題視していないことや、中国・韓国が日本以上のトリチウムを放出していることなどを、しっかり説明しないといけない。菅政権は、アピール能力が決定的に欠けている」

 こんな体たらくで、15日からの訪米は成功するのだろうか?