故・金日成主席の生誕記念日である太陽節を迎えた4月15日、平壌のランドマークである凱旋門前の広場では、今年も大規模な舞踏会が開かれた(写真:AP/アフロ)

「太陽節」――世界の北朝鮮ウォッチャーたちが、一年で一番注目する北朝鮮最大の祝日である。1912年4月15日に、「建国の父」金日成(キム・イルソン)主席が生まれた日だ。この日、北朝鮮全土は祝賀ムードに包まれ、各種のイベントが行われる他、政府から国民への「特別配給」などもある。軍事パレードが行われる年もある。

 世界の北朝鮮ウォッチャーたちが、この日に注目する理由は、主に二つある。一つは、この日に北朝鮮で開催されるイベントなどを見れば、北朝鮮の経済状況などが透けて見えるから。もう一つは、「太陽節」の前と後とで、政府の政策が大きく変わることがあるからだ。

今年の太陽節、軍事パレードもなければ特別配給もなし

 第一の点に関しては、近いところでは2017年の「太陽節」に、大々的な軍事パレードを挙行し、ICBM(大陸間弾道ミサイル)までお披露目させた。この年は、金正恩(キム・ジョンウン)政権が、米ドナルド・トランプ政権との対決姿勢を鮮明にした年だった。それ以降は、軍事パレードは行っておらず、今年も行われなかった。

 今年、金正恩総書記は、李雪主(リ・ソルジュ)夫人を伴って、金日成主席と金正日(キム・ジョンイル)総書記が眠る錦繍山(クムスサン)太陽宮殿を参拝。続いて、やはり夫人を伴って歌舞団の記念公演を参観した。

 だが、金正恩政権から国民への「特別配給」は、昨年、コロナウイルス警戒などを理由に行われなかったが、今年もなかった。平壌では、食糧配給の遅配も、もはや日常茶飯事になってしまった。