4月21日、ソウル中央地裁前で「請求却下」の判決について憤慨する元慰安婦の李容洙さん(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 韓国の元慰安婦らが日本政府を相手に提起した二例目の損害賠償訴訟で、韓国の裁判所が「主権免除(国家免除)」を認め、元慰安婦側の賠償請求を却下した。これに対して、韓国社会は大いに動揺している。

わずか3カ月後に真逆の判断

 ソウル中央地裁は21日、李容洙(イ・ヨンス)氏をはじめ、元慰安婦らと遺族など20人が日本政府を相手に起こした損害賠償訴訟の第一審で「賠償請求却下」の判決を下した。

 裁判所は「現時点で、主権免除に関する国際慣習法、最高裁判所の判例による外国人被告(日本国)に対する主権的行為の損害賠償提訴へは許容できない」と判断した。また、「被害回復など、慰安婦被害者問題の解決は被告との外交的交渉を含める韓国の対内外的な努力によって行われなければならない」「この事件の訴訟を却下し、訴訟費用は、原告が負担する」と明らかにした。

 韓国の最高裁は「外国の主権的行為に対しては主権免除が認められ、(民法・商法など)司法的行為に対しては否定される」という「制限的免除論」を取っている。これによって、原告側は「慰安婦と関連した日本の行為は主権的行為と見られない強行規範(国際共同体維持のために必ず守らなければならない規範)違反で主権免除の例外対象」という論理を展開した。しかし裁判所は、「主権免除の例外範囲を拡大解釈する法的根拠がなく、新しい例外を認めるには、基本的に行政府や立法府の政策決定が先行されなければならない」とし、原告側の主張を受け入れなかった。