2月1日にクーデターで民主政権を転覆して実権を掌握した国軍による強権支配が続くミャンマーでは3月に入り、「反軍、反クーデター」を訴えてデモや集会を続ける市民に対し、実弾射撃、令状なしの逮捕、拘束者への暴力、拷問などを含む実力行使の鎮圧が強まっている。
ミャンマーでは、学生や一般市民の反軍デモに加えて、公務員や医療関係者、銀行員、公共交通機関従事者などによる職場放棄や就労拒否という「不服従運動(CDM)」も全国的に急速に拡大しており、市民生活だけでなく経済活動に対する影響も深刻化している。そうしたこともあって、思い通りに事態を進められない軍の中に焦燥感が高まっているという。
その焦燥感の表れなのか、軍は中心都市ヤンゴンや中部にある第2の都市マンダレーなどでデモ参加者に対して短機関銃の使用や実弾射撃を含む強硬手段をとりはじめ、各地で死傷者が相次ぐ事態となっている。
ヤンゴン市内では3月6日、7日の夜、各所で銃声が響いた。灯りをともしていると射撃を受ける可能性があるため、多くの住民は消灯して成り行きを静かに見守る状況が続いたという。
軍は両日夜ともにデモ主催者やCDM参加者などの一斉検挙に乗り出している模様で、これまでに1700人以上もの人々が拘束されたとの情報もある。
「夜間に軍が病院や大学急襲」の情報相次ぐ
7日夜、ヤンゴン市内では午後9時過ぎごろから各所で銃撃音が響き渡り、軍が作戦行動を行っている模様だと、複数の在住者がインターネット上にアップした音声付きの映像で伝えた。
ヤンゴン市内では同日夜、ヤンゴン総合病院、東ヤンゴン病院、ワイバーギー病院、サウスオカラ女性病院などに軍が発砲しながら侵入してきたという。
さらにヤンゴン大学やヤンゴン外国語大学でも兵士が集結しているとの情報が伝えられた。「軍は病院や大学などで反軍デモ参加者やCDM同調者などの身柄拘束を続けている」という観測が大半だが、「病院や大学などの施設を接収して軍の拠点作りを進めている」との見方も出ている。