ハレム制については男尊女卑の観念に基づいた制度のように欧米では捉えられがちだが、それは重大な誤解である。

 イスラムの男たちは決して女性を貶めてはいない。それどころか、非常に尊重しているのである。

 イスラム教徒の男性は大事なものは人目に触れないよう、大切にしまっておくわけで、この点では自分の妻や恋人をきらびやかに飾り立てて、社交界に送り出し、他人の誘惑にさらす欧米の流儀を、イスラム教徒は理解する気もないのである。

 中国でも古くから一夫多妻の風習があった。

 王侯貴族の権力者とか、裕福な金持ち階級者は、多くの妻妾を抱えていた。好色的な欲求からであろうが、そうした生活のできる身分であることを示すためでもあった。

 そのためか貧乏人は女の子が生まれると比較的安楽な暮らしができると喜ばれたのだった。その理由は、わが娘を売り飛ばしてカネを得ることができたからである。

 また、金持ちは一人でも多くの妾を持とうと年少の女子を安く買い入れ、手許で育てて年頃になると妾とした者もいた。

 権力者の多くが競うように妾たちをわが邸内に住まわせた内妾形態を築いたのである。

 中国では主人が妾部屋を訪れたとき、妾たちは茶を入れて盆に載せ差し出すが、主人がその茶を受けて飲んだ女だけが夜伽(よとぎ:男の意に従い共寝)に当たることになっていた。

 その夜、選ばれなかった妾はせっかく出した茶を飲まれないで下げることになる。

 その原義から江戸時代、遊郭では客がつかずにアブれることを「お茶引」と称するようになった。