アラビア語の ḥarim(ハレム)とは婦人をあらわすが、一般的には婦人部屋のことで、婦人ばかりが住んでいる邸の義に使われている。

 ハレム、婦人部屋、後宮(皇后や妃などが住む宮中奥向きの宮殿)、妻妾。

 アラビア語から伝来した言葉で、発音によってハレムのほか、ハラム、ハリム、ハリームなどと綴られる。

 元来は禁じられたものの意から神聖なものを指すようになり、したがって、メッカやメディナの聖域や、メッカの聖廟を意味した。

 同時に男子禁制の妻妾部屋も、その中で暮らしている妻妾もハレムと呼ばれた。

 ハレムは一定の近親や夫以外の男が出入禁止の空間。女性をハレムに閉じこめる風習は10~11世紀から一般化したが、彼女らには月に何日か外出の自由が許されていた。

 宮廷や富裕者の間では大規模なハレムが造営される場合もあった。

 ハレムに暮らすイスラム教夫人には贅美をつくした生活が一生保証され、彼女らはただひたすら主人の歓心を買うために美肌を磨き、美服を身につけ、養食を喫して愛の技術の研究に努めればよかったのである。

 物質的な生活は保証されるが、性的な満足はというと、そうとは限らない。

 なぜなら、時に1年、場合によっては死ぬまで空閨(くうけい:相手がなくひとりで寝る)を託(かこ)たねばならない場合もある。

 もし、そうなれば彼女らは性的栄養失調者となり、他の男から隔離された囚われ人といえなくもない。