連載「ポストコロナのIT・未来予想図」の第20回。デジタル媒体を通じた教育は、対面での教育と補完し合いながら、これからの時代に求められる学びの機会を提供していくことが求められる。北欧の調査の経験を踏まえながら、元日銀局長の山岡浩巳氏(フューチャー取締役、フューチャー経済・金融研究所長)が解説する。
コロナ禍の中、感染防止の観点から多くの大学がリモート形式での授業を余儀なくされています。
もちろん、教育の中には対面でこそ得られるものもあり、リモート教育だけという状況は、学生さんにとってはストレスフルと思います。一方で、感染防止と教育の両立を図らなければいけない現状では、リモート教育の環境の不備は、学びの機会そのものを奪ってしまうことにつながります。学生さんのためにも、とにかく「リモート教育をなるべく良いものにしていく」ことを考えなければなりません。
この点、私が2019年の9月に訪問した北欧では、コロナ禍の前から、デジタル技術を活用したリモート教育の拡充に取り組んでいました。この背景としては、いくつかの要因を指摘できます。
多様な年齢構成とリカレント教育
日本の教育では基本的に、ある年の4月2日から翌年の4月1日までに生まれた、ほぼ同じ年齢の若者が同級生となり、この仕組みが保育園や幼稚園から大学まで続きます。したがって、大学の入学年齢も似通っています。